平成26年の幕引きへと向かって。

写真 2昨日は今年最後となるバイクイベントでMCの仕事だった。先日騒いだ『福岡博多秘密基地』は、実はこれに便乗したものだったのだ。10月に予定されていたイベントが台風によって中止となり、数日後には延期で立て直そうと決定した。だが関係者たちの諸々の調整や告知が必要なため直後というわけにいかず、野外でのバイクイベントとしては異例の12月開催になったのだ。

結果、師走ということで1年間をじっくりと振り返りながら言葉を紡いだ。「よいお年を」で締めた昨日は1つのピリオドになり、思いがけずなんともいえない達成感を噛み締めたのだった。こうして1つひとつが今年最後に向かっていく。気を緩めず、きれいに締めくくっていきたいものだ。

昨日のステージを切り盛りした4人が、互いの健闘を讃えてちょっと偉そうな態度(笑)
昨日のステージを切り盛りした4人が、互いの健闘を讃えてちょっと偉そうな態度(笑)

1997年にバイクイベントに関わるようになって、翌年からはカワサキとの共催イベントをスタートさせ、その後もいくつかの主催イベントを立ち上げてきた。僕の仕事の中でそのウエイトは重く、ほとんどでMCを務めるため責任も強くのしかかっている。奮闘努力しながら、ずいぶん長いこと関わってきた中で、今年は特別な年になった。カワサキと共催しているイベントの1つで、29歳以下の若いライダーを対象にしている『カワサキオーナーズU29ミーティング』に、カワサキとの契約を勝ち取った日本最高峰のレースを闘う渡辺一樹選手が、年間を通じてゲストとして送り込まれることになったからだ。このイベントは今年4回がプログラムされていて、そのすべてで彼とトークショーを展開した。さらに今年はカワサキとしては久しぶりの『鈴鹿8耐』にも参戦してここでもイベントが組まれ、さらにウチの会社の単独主催イベントにも参加してもらった。昨日は今年6本目のトークショーとなったのだ。

ただでさえ重い仕事に、トップレーサーとのトークを展開するのは集中力と努力を要する。しかも彼はナウでヤング(笑)な24歳だ。その若者の胸の中に、土足で入っていくようなことがある。『鈴鹿8耐』での彼にとって悔しすぎる転倒についてや、不本意な成績に終ってしまったレースについてもズケズケと質問をぶつける。正直にいえばこんな会話はしたくない。が、すべては参加してくれたお客さんに少しでも喜んでもらいたいから力を込める。これは彼も深く理解していて、慎重に言葉を選びながら心を込めて付き合ってくれている。この気持ちに支えられて、もっとよくしようと相互作用を生んだ1年だったと自画自賛している。

『鈴鹿8耐』は12位、全日本ロードレースは年間ランキング7位で、この成績だけで言えば褒められたもんじゃない。しかも去年のシリーズランキングも7位だったのだからなおさらだ。しかし、その内容はまったく異なる。言葉にするとやや乱暴ではあるが、去年はマシンに振り回されながらトップの次の集団を完走するというレベルだった。それが今年は別人のように成長した。確実にトップを追い回す力を付けて、本人もそのレベルでしっかりと戦った。結果として、トラブルやちょっとした選択ミスだったリが重なってしまったに過ぎず、チャレンジャーとしては十分な存在感と力を見せつけ、僕は「いい1年だった」と胸を張って彼を評価する。そして来年は、いよいよ真価が問われることになった。ホップ、ステップまでは極めて順調にいったから、来年のジャンプをどうきれいに完成させるかだ。本人もそれは重々わかっていて、昨日は晴れ晴れとした表情でそれを語ったのだった。まだ決定ではないのだが、来年も今年同様に年間で付き合えそうな段取りになっている。僕にとっては50歳を迎える年に、やりがいのある仕事が加わるのは今から楽しみである。

昨日の僕は、今年のバイクイベントをやり遂げたささやかな幸福感を得て、それを噛み締めながら焼酎を流し込んだ。だが、寒い中での野外イベントは身体の芯まで冷やしたようで、顔がほてって温度調整が利かないままだった。そんな感覚や深い疲れは、まるでこの1年のイベント仕事の重さであり、少しずつ解き放ってやるように過ごした1人の夜は至福だった。

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