ローカルネタで恐縮だが、東京メトロ有楽町線の江戸川橋駅のそばに、こんなすてきな茶店を発見した。正確にいえば、最近音楽仲間になった先輩が脱サラして大昔にオープンさせた店で、先輩同様店の年季の入り方が素晴らしく、居心地最高である。うまいブレンドは400円と、価格も昭和を貫いていてよい。音楽好きの店主らしくアナログ盤とCDが充実していて、とくに60・70年代の渋い音楽が多くラインナップされている。
昭和40年男で、将来喫茶店のマスターを夢見ながら学生時代を過ごした者は多かろう。ここのマスターはまさしくその夢を実現した男である。僕は茶店ではないが、現在の仕事を引退したら音楽バーを持ちたいとの夢、いや妄想を持っている。ギターを置いて好きな時間に好きなだけ歌える店。8席程度のカウンターだけのバーで、いろんなヤツらが語り合う店。ビックコミックオリジナルで連載中の『深夜食堂』の舞台となっている店や、読者ミーティング『浅草秘密基地』を開催しているショットバー『FIGARO』なんかがそのモデルだ。そしてここ『オン・ザ・コーナー』の雰囲気もその夢に近い。
奥さんと2人だけでやっている店は、お客さんがひっきりなしで忙しそうだ。若い人も多くて、茶店でこんなに繁盛しているところを見たのは近年なく、きっと今の時代に求められている空気が自然と漂っているからなのだろう。日曜日は定休ながら、祭日と土曜日は営業しているそうで、マスターによると最近では観光客が多く訪れるとのことだ。それもここの空気感をどこかで知ってのことだろう。
東京ローカルネタとはしたが、こちらへ来るチャンスがある方だったら記憶しておいて損はない。もちろん近所の方はぜひ行くべきだと太鼓判を押す。知り合いの店で恐縮ながら、違いのわかる昭和40年男たちはきっと満足するはずだ。いい音楽と雰囲気で味わうコーヒーは、高校時代へとタイムスリップさせてくれ、最高の時間を過ごせることを約束しよう。