朝晩は涼しさを通り越して、少々肌寒さを感じる日が増えてきた東京だ。夏好きの僕だが、結局のところ秋も冬も春も、それぞれによさを味わいながら過ごしている。秋の凛とした空気は気持ちいいもので、近所のハナミズキがこんな風に色を付けていた。いろんな木々が少しずつ姿を変えていくから、毎朝の出社時間も楽しい。
そんな秋にハロウィーンなる新しいイベントが加わった。昭和40年男にはまったく馴染みがないが、たまたま見かけた新聞記事は市場規模が年々増加傾向で、今年は大雪で不調だったバレンタインを抜くかもしれないというものだった。不二家では『黒猫のペコちゃん』なる展開で市場を刺激していて、それは賑々しくてよい。くどいようだが、おっさんにはまったく理解できないものの、子供や若者たちにこうした季節の楽しみが加わることは悪くないことだ。一方で、紅葉狩りという言葉を使う若者が減っているように思う。コイツはおっさんがキチンと伝承させていきたい、すてきな言葉だ。もともとは違った意味で使われていたようだが、現在のように紅葉を楽しむという意味に使われるようになり久しく、なんとも風情がある。
そしてなんといっても秋の楽しみは食だ。今朝はこんな贅沢をさせてもらった。毎年送っていただく農家が食べてる新米に、この時期しか出回らない生のいくらをしょうゆ漬けにして、焼きジャケと一緒にぶっかけてかき込む。シャケの親子丼である。痛風が怖いとか、愛しのいくらちゃんを前にすると遥か彼方へとすっ飛んで、無心で口に運んでしまう。ダイエットも一時休戦だ。よく噛んで新米の甘みと、いくらとシャケが持つコクのハーモニーを楽しむ。ああ日本人でよかった。秋の食万歳、四季万歳である。