ひたすら原稿を書き、その他デザイン回りや確認事項や最終取材(まだやるかっ!!)
などなどが波のように押し寄せる今日この頃だ。
編集部員たちは、皆お尻にまっ赤な灯をともしまさに追い込みとなっている。
いつものごとく、なぜこうも人間は愚かなのだろうと反省しながらも
今年最後の『昭和40年男』は邁進しているのだ。
今回は、台割表の完成こそ過去最高のタイミングだったものの、その後の仕込みが難航した。
本づくりにおいては、いやどんな仕事でもそうだよね、ここがもっとも重要な部分なのだ。
「大工仕事は段取9割」という名言が手帳に記されているものの、
あんまり精神に入り込んでこない馬鹿な俺だ。
企画によって、仕込み時間のかかり方は大きく変わってくる。
とくに協力者を必要とする場合、かつ、その協力者が大企業であると面倒が格段に増える。
ひがみっぽい話だが、大出版社のメジャー誌であり、
かつ、そこで経験を積んだ編集者だとスムースに事が運ぶことが多い。
「あー、どもども」
で始まり、
「ちょっと面倒かけちゃうけどさあ」
なんて軽く仕込込めてしまうものである。僕だってバイク関連ならすごいぞ。
「えーっ、いいじゃないですかあ、頼んますよ」
なんて言っちゃったりしても大丈夫なのだが、残念なことにこの業界だけしか通用しないのだ。
いつか見ていろ俺だって…の精神でやるしかない。
で、企業仕込みの話ね。
なんせまだまだ知られていない本だから、取材申し込みの交渉が雑誌自体の企画書から入る。
もっとひどいときは会社案内から入っていくのだ。
そして今回の企画趣旨をよこせとなり申し込みが終了すると返事待ちだ。
返事がなかったり、断られることもしばしばである。
企業広報などはとくに差が激しい。
丁寧と横柄の開きが大きく、窓口となった個人差もあるのかもしれないが
丁寧に対応してくれた企業にはやはり好感を持ってしまうのは人間なら当然であろう。
今回の企画ではこの部分にややウエイトが大きかったため遅れがちになったが、
やっとその苦労はもうほぼ決着がついたところである。
本づくりには実にさまざまな作業があり、取材現場を颯爽とさばいている比率は意外なほど低い。
学生が面接に来て決まり文句のようにいう「やりがいがある」と感じさせるシンボリックな部分は
たぶん取材現場にいる姿だろうが、そんなもんのウエイトなんざとくに新人時代なんざ一桁%だよ。
仕込みだったり調べものだったり確認だったり、とにかく地味な作業の積み重ねの上に成り立っているのだ。
ただ、比率は少ないながらも、学生たちの想像どおりで取材現場はおもしろい。
自分とはまったく異なる考え方や信念、また、これまでまったく触れたことのない世界の話を聞いたり見たりは、
とても良質の栄養を得たような気になる。
そしてそれにはこちらの体調や心の状態、日頃の鍛錬なんかも加味され、
同じく対象者も万全で臨んでいるかそうでないのかと、実に多くの要素が絡み合い取材の善し悪しが決まってくる。
インタビュー取材で相手がすばらしい人物であったり、旅企画で晴天の富士山であったり、
誰がのぞんでもそもそものアドバンテージを持っている対象というラッキーはある。
相手がしゃべりまくってくれて、それが企画意図とバッチリ合致していたのは、
たとえば創刊号の藤岡弘さんなんかサイコーだったね。ものすごく熱かったもの。
でも、雑誌によってはその熱さが合わない場合もある。
だから仕込み段階が重要になるということだね。
逆に難しい対象者に対してうまくいったときはちょっぴり自分をほめてあげる。
この実例を出すのは控えるが、そんなスリリングな現場の方が多いのだ。
誰もが気分よくずーっと的確にしゃべってくれるはずはない。人間ですから。
なんだかとりとめのない本日のブログだが、ねっ、がんばっているのよ俺たち、
だからね、来月の11日は必ず書店に足を運んでくださいね、というPRなのでした。