金曜日の最終電車。

締め切り最終日までは、もう酒を口にしない。
いや、ちょっと嘘をついた、月曜日は浅草秘密基地だしね。でもホント、数えるほどになるだろう。
僕ほどの呑んべえが、週に何日もアルコールを抜くことは体に変化をもたらして、
実はとってもよくないのかもしれないなと思うほど、呑まない(めない)日が続くのだ。
そうして迎える締め切りを終えた美酒の味を考えると、我慢のしがいもあるってもんだぜ。
と、そんな昨日の金曜日。最終電車に乗ると、すさまじい臭いである。
普段は誰よりも放出している自分のくせに、この臭いにやられるとは、まあ勝手なものである。
翌朝も早くからバタバタだから、家について牛乳飲んで就寝というなんとも健康的というか、
もうそれを超えて情けなくも感じてしまうのは呑んべえがゆえだな。

僕は缶ビール1缶でやめるというのができない。
そんなんだったら呑まない方がいい、呑むならとことん。
喰うときも腹八分目なんざやるのなら喰わんてね。
だからおかげさまで昼酒はほとんど呑らない。
そのまま夜まで延々の呑みになるのがもったいないから、お正月などの特別な日に限られるのだ。

話を戻そう、昨日の酒臭い最終電車に乗って感じたことがある。空いているのだ。
金曜日の最終ったらもうぎゅうぎゅうでさらに遅れるのが、ついちょっと前までは当たり前だった。
ましてや、例年ならばそろそろ忘年会ラッシュになるのだから
せめて今のうちに親しい連中で呑んでおこうという時期ではないのか?
普通に働いている方々にとって来週は祭日も入るし、なんとなくワクワクする金曜日じゃないのか?
今年の暦を見ると、職場の人間同士や友人同士でガンガン呑むべき金曜日は
昨日を入れるとあと5回しかないでしょ。
最終は大晦日でその前週はクリスマスイブだから、どうしても家族や恋人優先になるものね。
なのにこの最終電車の有様は、ホントに景気が悪いということなんだろうな。
まずいよなあと、手にした雑誌を広げることをしないでその乗客たちをぼんやり眺めていると、
決して気のせいでない暗い表情が多い。
まるで日曜日の最終で、ああ明日から仕事なんだなというような雰囲気である。
泥酔者もあきらかに少ないのと、若い人が少ない。
若者から酒離れが進んでいて、その部分でも如実に世相を反映している。
はーっ、せっかく全力で仕事を終えてのいい気分が、暗い気分になってしまったよ。

こんな話は経済学者様たちにまかせておけばいいのだが…。
零細企業の経営などやっていると、現在の日本がいかにジャブジャブと企業に金を使っているかが手に取るようにわかる。
そしてとうとう効果がないと打ち切りが決定したのである。
景気対策を切り口に政府が行っている緊急制度融資のことで、
もう中小企業対策で景気浮揚の可能性はないとの判断がくだされたということだろう。
以前、小渕内閣の時に安定化というタイトルの制度融資で、すごい額が焦げ付いたのを記憶しているだろうか?
あのときに経営者たちは緩い審査の融資を限度目いっぱい利用して、
計画的に潰すという高等テクニックを実践したり、幽霊会社で利用して潰すなどの詐欺まがいのテクニックが横行した。
その焦げ付きはそのまま国の借金となったので、いずれにしろ税金で穴埋めするのである。
さらに威力と規模を増して行なわれていた今回の対策が、来年4月以降白日の元にさらされることになるのだ。
そこからどんな不況へと突入するのか、まるでこの最終電車が語っているようだった。

さあ、牛丼190円時代が目の前だ。

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