寿司を満喫できる幸せ。

石ひまわり普段はケチケチライフを送っている僕だ。マイカーもなければファッションもバーゲンばかり。晩酌は万年『いいちこ』で、呑みに出かけるのは安居酒屋ばかりだ。こんな僕だが、たまにドーンとやるのが寿司だ。

自分へのご褒美といえば、寿司屋のカウンターをひとりで楽しむに限る。いい仕事をした仲間との打ち上げや、大切な後輩に奮発することもちょくちょくあり、こうした日は人が変わったように大盤振る舞いする。会社のある浜松町界隈と、かつてのオフィス所在地の赤坂にそれぞれ一件ずつなじみの店がある。寿司屋に思い入れが強いのは、初めて1人でカウンターに座った時からのこと。知的冒険を求めていた子供は、めいっぱい背伸びしてのれんをくぐり、板さんとやり取りする楽しさを知ってしまった。以来、30年以上の間になじみの寿司屋を持っていない時期はない。

石秋その豊富なキャリア(!?)で行きついた理想型は、こぢんまりした店で主人が1人でつけ場を切り盛りしていて、奥さんが店全体を回している店だ。浜松町も赤坂もまさにこれを貫いていて、いつ行ってもお2人が笑顔で迎え入れてくれる。従業員分の人件費が乗っかっていないからなのか、それとも江戸の心意気なのか、そのクオリティからは信じられないほど低料金で帰れる。たまに焼酎を1本くれたり、珍しい旬のものやいいマグロが入るとメールをくれる。さらに今年東京を襲った大雪の日は、交通機関が麻痺して帰れなくなった僕を店に泊めてくれ、朝は熱いお茶で見送ってくれたなんてこともあった。そうした親密な付き合いをさせていただき、その信頼する親父さんの手で握られる寿司を食えるのは、この歳だからこそ行きつけた至福だと思っている。

いつも季節を少しだけ先取った花が飾られているのもいい。夏から冬へと見事に移り変わっている花は、おかみさんによって生けられたものだ。花に詳しくない僕がおかみさんからの説明を受けて、出てくる魚も近海天然の旬のものばかりをそれぞれ講釈してくれる。これは楽しく、花にも魚にもずいぶん詳しくなった。

両店とも親父さんは築地通いを1日も欠かさないそうだ。いいものを求めて朝早くに出かけては、たくさんの種類を仕入れて維持するのだ。体力的にも経営的にも大変なご苦労だろう。いつも頭が下がる思いで、感謝の気持ちを込めていただいている。

最新号を印刷所に託したから出かけることにしようか。浜松町か、それとも赤坂か。究極の選択はつらく厳しく、そして楽しいものだ。

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4件のコメント

  1. よろしくお願いします。
    はまマッチョに沼マッチョが行っても大丈夫でしょうか?

    • もちろんです。ぜひ。夕べは究極の選択で浜松町にしましたが、相変わらず素晴らしかったですよ。

  2. 小心者ゆえ寿司屋デビュー出来てない者です(^^;
    まずはお造りからなんてやってるのでしょうか?
    親父が折り詰め提げて、気持ちよさそうに帰って来たのを思い出します。
    50になったらデビューしてみようかな?
    先輩、諭吉っちゃん何枚持ってけば安心でしょうか?
    かみさんにお願いしなきゃ(^^;

    • じゃあ、僕がご案内しますよ。どちらの店でもきっとハマりますよ。諭吉っちゃんについては後日そっとお知らせします。

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