ここ何日かの東京は、8月とは思えない秋のような涼しさだ。来週にはまた暑い日が戻るようだが、もう強さはなくなっていることだろう。夏好きのアホな昭和40年男にとっては寂しいかぎりだ。
とはいえ、秋には秋のお楽しみがたくさんある。そのひとつはやはり食い物ですな。いろんなものがグーンとうまくなってきて、ダイエット中の身には少々シンドイ。夏の間はずっと敬遠しがちだった汁蕎麦がごちそうに浮上するのも秋の到来から。春を感じると海苔の香りが爽やかなざるが食べたくなり、暑さが一段落すると汁もので季節を先取りする。いいものですなあ、日本の食は。
「たぬきください」
年に軽〜く100回以上は行く会社近くの蕎麦屋のおばちゃんは、他の客には問う「蕎麦とうどんはどちら」とは聞かず、そのまま旦那さんのいる厨房へ「たぬき蕎麦一杯」と伝えてくれるのはなんとなくいい気分を味わえる。ごく普通の皆さんの街にもある蕎麦屋で、置いてあるスポーツ新聞を読みながら待つこと数分、やがて熱々のたぬき蕎麦がいい香りをさせながら届くと至福の瞬間だ。猫舌の僕は火傷に気をつけながらごちそうをすすり、揚げ玉の偉大さにいつも感心させられる。きつねもいいけど、オーダー比率でいったら圧倒的な勝利になるだろう。
僕の好きな汁蕎麦をあげると東西の横綱はたぬきとカレーで、なんとも子供っぽい好みである。続いて鴨南蛮といいたいところだけど高いからいつも鳥南蛮を頼む。鳥肉のだしと鰹だしの絶妙な融合がこれまた「日本人でよかった〜」となる。かけも大好物でシンプルがゆえに染み渡る。初めはネギを入れないで少々いただいてからネギをのせる。香りがフワッと立つのを楽しみながら、味の変化を楽しむのがまたいい。横綱に加わって東西の大関がこの2品で、汁蕎麦オーダーの約8割を占めている。
会社の近くに江戸時代から続く老舗の蕎麦屋があり、こちらもちょくちょく出かける。ここにはたぬきとキツネはメニューにない。お客さんをだますような品は置かないと、扱っていないところは稀にある。もっともメニューに書いていないだけで、オーダーするとキチンと出てくるのが憎い。江戸っ子の粋ってやつを感じさせてくれるご商売である。だがこの店ではたぬきよりも天ぷら蕎麦をいただくことが多い。しっかりとした衣は脂がほどよく切られていて、汁にとけ出しでギトギトということにならずにさっぱりといただけるのは職人技を感じさせ、大満足を得られるのだ。
〆切作業まっただ中の今夜も東京は涼しく、晩飯は汁蕎麦にキマリだな。さて、なににしようか。今シーズン初の鳥南蛮でもいってみようかなと考えていると、ほら腹が鳴り出した。ではいつもの蕎麦屋へ行って参ります。
見れば見るほど美味そうですな( ´△`)
いいね、たぬき(^^)
かみさんと娘に死ぬ間際に食いたいもんてお願いしてある(^^;
緑のたぬきでもいいからと。
締切までもう一踏ん張り、気をつけてよ(^_^ゞ
楽しみにしてるんだから(*^^*)
ありがとうございます。
最後の晩餐はたぬきですか。僕は湯豆腐とマグロの赤身刺でいつも悩みますが、まだまだ死なないからいいや(笑)。
今宵は予定通り鳥南蛮をいただきました。うまかった〜。明日はたぬきかな。