吉野家の牛丼に、ちょくちょくお世話になる。
高校時代から松屋でなく吉野家Loveを貫いているのから、ずいぶんと長い間だな。
最近騒がしいのが、安さを武器にした様々なチェーン店との牛丼過激闘争だ。
そんなところに吉野家が280円で投入した牛鍋丼なのだが
僕はどうも白滝とご飯を一緒に食うのが好きでなく触手がのびなかった。
でもこれまでやられっ放しだった吉野家にとっては、ちょっとしたポジティブ要素になったらしいから
よかろうと思っていた(ってどんな上から目線だよ)。
先日、いつものように吉野家のカウンターに颯爽と陣取りオーダーしようとしたところ
“牛キムチクッパ丼”なる新商品のポスターが誘っているじゃないの。
赤い。
美しく赤い。
辛いもの好きな僕のハートをロックオンで、予定を変更してオーダーしてみた。
ドーンと届けられたその丼であるが、これでは“白菜キムチ丼”である。
肉が3切れ、申し訳なさそうに乗っていてあとはキムチがどっちゃり。
しかも芯のところばっかり。思わずポスターを見返してしまったよ。
うーん、お玉にうまく乗らなかったのだなと自分に説明してかっ込みながら
なんだかとっても惨めな気分になってしまった。
でもさ、松屋のトマトカレーの話でも触れたけど相当な負荷の中で提供しているのだ。
しかも、お茶は出てきておかわりOK。
さらに、紅ショウガは取り放題で七味はかけ放題。
加えて、従業員はスマイル。
これだけ揃って280円って驚愕でしょう。
『昭和40年男』も内外スタッフに無理を言ってギリギリで走っている。
だからせめて自らも激しく動くようにしている。そうした努力をしながら
なんとか成功を目指して踏ん張っているのだからあまり偉そうなことはいえないが、
ただ、あれだけの店舗数を誇る吉野家とその他外食チェーンが
削れるところまで削りながら消耗戦を繰り返しているという状態は、やはり健全とは思えない。
でもサバイバルは止めればたちまち倒れてしまうのだから、
今日もまた誰かが睡眠時間を減らしてがんばっているのだろう。
そしてその誰かは今日本中でものすごく増加しているのだ。
なのにだ、僕はあさましくも肉が少なくて惨めな気分になっていた。
あー、もうヤダヤダ。
牛丼と100円も差があるのに過度に期待する自分がね。
安くていいモノを本当に目指している姿は美しいけれど、
自分たちの生活どころか心までも蝕んでいくことになりかねない。
とくに心だ。たったの280円なのに満足しないと腹を立てて怒り出す人とか、
以前に聞いた話では、豚丼をやめたということにクレームを延々と繰り返す人とか。
ああ、僕も声には出さなかったけど、心の中では変わらないなと。
なんて280円で受けた授業だと思えば安いものである(ほらっ、また言ってる)。
先代の日本人たちが築いた日本の繁栄を食い散らかしてきた僕たちだ。
ここら辺でもう一度、おおいに汗をかき本気で踏ん張らなければ
下の世代や未来の子供たちに申し訳ないよね。
つうことで、今日はまず散財の豪遊から始めるか(笑)。