昨日はウチの会社主催のバイクイベント…、のはずだったが残念ながら中止(10月18日に延期)となってしまった。バイクイベントは雨や少々の嵐には負けない。悪天候でも頑張って来たヤツだけが得る喜びがあり、主催者側にも同じく心に残る。とはいえ、先週から続く天候不良は尋常でなく、参加には危険を伴うと判断した。バイクイベントを運営するようになった98年以来、数知れず開催してきた主催・共催イベントで初めての中止となったのだ。
8月9日は夏休みの初日になるから、家族サービスに取られて駆けつけるのが難しい方も多いかもしれない。それでもあえてこの日にしたのは、雨の心配が少ない日だからだ。加えて、今回は夏祭りをコンセプトに賑やかなものにしたかったから、お盆近くの日程は盛り上がると選んだのだが、まさかこんな状況になるとは。先週の月曜日から検討に入り、水曜日に延期を決定させて、さまざまなデジタルツールを駆使してお知らせしてきた。だが、デジタルコミュニケーションにあまり依存していないライダーはいるだろう。悪天候の中で苦労してイベント会場に着いて、関係者が誰もおらずお詫びの看板だけではなんとも申し訳ない。そこで僕は会場に乗り込むことを決めて、スタッフ1人を伴い金曜日の深夜に事務所を出発して、岐阜県の郡上へと向かった。
イベントスタートは9時の案内で、いつも開始前にはライダーたちの行列ができる。先着者限定のステッカーやイベント会場限定販売のTシャツを求めて、早い時間から続々と駆けつけてくれるのだ。そこで僕らは8時に会場入りして、終了予定の午後2時までいることにした。3000台は入れる駐車場を持つスキー場『ホワイトピアたかす』が今回の会場だ。予定通りに会場に着くと誰もおらずひとまずホッとした。中学の卒業時に初めてイベントらしきものを主催して、やがてプロとしてイベント仕事に関わるようになっているわけだが、今回は初めて誰も来ないことを祈った。それが今日の成功なのだ。
入り口付近にクルマを置き、横断幕を張った。僕ら2人は雨をしのぐためにそのままクルマの中に入り、1人も来ないことを祈りながら参加者を待つという、なんとも複雑な任務に就いた。時間が惜しいから仕事をしようとPCを、せっかく不意にまとまった時間が出来たのだから勉強しようとテキストを、それぞれ持参したのたが、結局それらを広げることなく2人での会話に終始した。誰もいない、だだっ広い会場のクルマの中に男がふたり。男女だったら間違いの1つでも起きそうなシチュエーションだが男だとまったく異なり、刑事ドラマや探偵ものでよく見た張り込みのシーンのようだ(笑)。
開始時間の9時を過ぎるとまず1人、雨を避けてクルマで来たその男性はネットを見ていなかったとのこと。今回の決定を丁寧に詫びると、仕方ないと理解してくれて、記念にとこのクルマの写真を撮って引き返していった。次はやはりクルマで3人組が来た。バイクでないとはいえ、やはり申し訳ない気持ちでいっぱいになる。これからしぱらく来場はなく、思っていた以上にネット発表の効果は高いと胸を撫で下ろしていると、バイクのエンジン音が近づいてきた。この日から夏休みで、前日の仕事が終わってその晩に東京から走り始めて関西の実家へ向かった。実家に着くと荷物を置いてそのままここに来てくれたという。ずぶぬれのライダーに涙が出てくるのを抑えて、感謝と謝罪の言葉を述べるとやはり理解を示してくれ上記の記念写真となった。このあと、新潟からクルマで来てくれた男性がいて、計6人の来場に終わった。
我々のイベントに、こんなひどい天候の中を駆けつけてくれた想いをうれしく受け取った。そして猛省した。告知では“雨天決行”の文字が大きく踊り、極端な悪天候による開催中止などの可能性を示唆する文字はなく、もっといえば緊急の場合は公式サイトなどを参照するべしとの案内もしてない。これまで数えきれないほどのバイクイベントを開催してきて、たった1度の中止がないことの慢心があったのかもしれない。
ただ個人的には延期の決定が早かったことと、ここへと足を運んだ判断はよかったと考えている。6人のライダーをたった2人ながら主催者が強い気持ちを込めて迎え入れられたことは看板1枚とは雲泥の差で、大満足の仕事になった。
お疲れ様!!
そういうところ大事だと思う。
さすが40年男(*^^*)
ありがとうございます。ちっぽけな誠意でしたが、ないよりはよかったと思ってます。