奇数月11日の発売の『昭和40年男』ですが、今月は日曜だから10日に書店の棚に並ぶ。ゴールデンウィークに遊び疲れた諸氏は、コイツでゆったりとした週末を過ごして、エネルギーをチャージしていただきたい。本日も次号のPRを兼ねて、大編集後記を送らせていただこう。
4月1日の午後、僕は都内のスタジオへ向かっていた。新年度がスタートして、消費税増税が始まったが、そんな喧噪などまったく自分とは関係なく感じるほど緊張していた。あの欽ちゃんに会える日がついに来たのだ。
昨日もふれたが、僕はお笑いの世界に夢を描いたことがあり、それはドリフの面々と、そして欽ちゃんによるものだった。『8時だョ! 全員集合』のような、チームワークでドタバタと作る笑いを目指して、クラスのお楽しみ会では何人もを選抜してその世界を真似た。一方、欽ちゃんのように司会でもコントでも、ピンでもコンビでも笑いを作れる男を目指して、数人での漫才にも取り組んでいた。双方とも、僕にとってはあまりにも大きな憧れの存在であり、欽ちゃんは加えて、そのあたたかさにも影響を受けた人だ。『スター誕生!』での残念な結果の子を励ましたり、一緒に合格を喜んだりと、その姿を見たくてチャンネルを合わせていた。あんなにやさしく言葉をかけられる人間になりたいと、笑いのクリエイターとしての欽ちゃんとは別次元で憧れ続けてきた。
取材当日、僕を含むスタッフ4人は、都内のスタジオでセッティングを済ませて大物を待った。約束の時間まではまだ少しあるところに、欽ちゃんがひょいと現れた。ホントに“ひょい”なのだ。ずっとテレビの中にいたその人が、極々自然と目の前に現れ話し始めたのは、ずっと見続けたのまんまの欽ちゃんだ。あれだけの大物だから、マネージャーと事務所の人間が数名で先にスタジオに入ってきて「あと5分ほどで到着です」なんて始まりを予想していたのだが、マネージャーがスタジオに入ってきたのはインタビューが始まってずいぶん経ってからで、僕らスタッフに対するのは欽ちゃん1人というのがなんとも贅沢に思えた。ああ、こういう方なんだとうれしくもなった。タバコに火をつけてはもみ消し、テーブルに並べられた甘いものを大丈夫かなと心配になるほど次々に口に運ぶ。酒はまったく飲まないらしいが、タバコと甘いものはかなり豪快である。
ほとんど休憩をはさまず、約5時間に渡ってしゃべり続けた欽ちゃんだった。今回の特集ではありがたいことに、2日に渡ってインタビューの時間を取っていただけた。その日ごとの終了予定時刻もとくに決まっておらず、どこまでもつき合っていただけそうなご様子だった。結局合わせて10時間以上のインタビューとなり、『昭和40年男』史上もっとも長い時間を要した。掲載するのも10ページと、これまた過去最大ページ数となった。充実の中身は、10日の発売を待っていただきたいからここではふれないが、僕ら世代にずしりと来ることはお約束しよう。
テレビで見ていた欽ちゃんと1つだけ違っていたのが、その鋭い眼光だった。欽ちゃんは昭和40年男よりふた回り上の巳年である。やさしそうな瞳の奥にはまるでへびが獲物を狙っているかのような鋭さがあり、目が合うたびに同じく巳年の僕は、へびどころかまるでカエルである。すべてを見抜かれてしまうかのように僕の瞳に照準を合わせたまま、欽ちゃんの瞳は動かない。ものすごく長い時間に感じるほどなのは鋭すぎるからで、そんな瞬間が10時間に何度もあった。こんなにスゴイ眼光にさらされたのは、生まれて始めての経験だった。やはり大物は違うのだ。
そんな怖い目にもあって(!?)完成した10ページのロングインタビューは、必見のページに仕上がったぞ。10日の発売を乞うご期待だ!!
欽ちゃんですか、、、何とも意外、、、変わらずチャレンジしておられますね!
しかし、取り上げたい気持ちも良く分かります。
「ばんざ~い、、、無しよ。」は、惜しい所まで届いた敗者への実に洒落の利いた愛しみの言霊でした。
お笑いの教科書という意味では、センスよりも人を笑わせる”姿勢”を学んだ感じがしています。
そしてそれは、意識することは無かったけれど仕事でも活かされてきたと思います。
いずれにしても、今号も発売されるのが楽しみです!
意外ですよね。でも、今こそ再確認する必要があると考えたんです。おっしゃるとおり、欽ちゃんの“姿勢”は今だからこそ同世代に響くはずです。どうぞ、お楽しみに。