毎度のことながら、今回も実にたくさんの表紙を作った。いつも軽〜く20以上は組む。写真の大きさを変えると、まったく違うパターンが見えてくるのだ。たとえば欽ちゃんを小さくして右に寄せると、左に白いスペースが大きく取れる。この空間にキャッチコピーと萩本欽一だけを組み合わせて配置した、ホワイトスペース重視タイプのパターンをいくつもトライした。キャッチコピーさえ取って、萩本欽一の文字だけでトライしたり。好みだけでいえば、スペースを大きく取ったものなのだが、好みには危険が隣り合わせだといつも意識して、そこには走らないように気をつけて俯瞰するような気持ちで作る。書店の棚で同世代の方々にどう伝わるのか? 欽ちゃんで特集を組んだことと、読者となっていただくみなさんとの出会いの瞬間には、どんな気持ちが生じるのか? そんなことをうだうだと考えながら、デザインに落とし込んでいく作業はかなりの時間を要する。こうして出来上がったものからは想像はつきにくいだろうなあ。
今回とくに苦しかったのは、萩本欽一という文字のバランスがよくないこと。最後の一文字が“一”であることがものすごくツライ。萩本欽さんだったらどんなにラクだろうと、恨んだほどだ(笑)。ならばとこうして崩したのである。おおっ、これはおもしろい。ちょっとタブーの領域にも感じるが、そんなものにとらわれる僕じゃない。どんどん固まっていき、最後はコイツとどちらにするかで悩んだ。この違い、わかります?