親の介護が重くのしかかっている昭和40年男は多い。悩みや苦労を聞くことが日に日に増えていて、予備軍も含めると相当の割合で意識していることだろう。僕も長男だから将来的な不安はあり、介護にまつわる情報には敏感になっている今日この頃だ。そんな折、バイクの仕事を通じてなじみ深い会社のひとつ、ヤマハ発動機が電動アシスト車いすの発表試乗会を開催するとのことで出かけてきた。
受付を済ませると、発表会が始まる前に一般的な車いすの体験コーナーがあり、まずは生まれて初めての車いす体験をした。これまで持っていた印象よりはずっと軽く操作性よく感じられたが、のぼり坂では相当きついだろうことと、腕力が衰えた高齢者の方がこれで長い距離を移動するのはさぞご苦労であろうことも容易に想像がつく。だからこそのヤマハの技術ってことだなと、まんまとのせられた僕だ。
この体験後に製品説明となった。ヤマハは、進む力をアシストするタイプと、スティックで操作する電動タイプの双方の販売を続けてきた。既存の車いすに装着するタイプのユニットと、電動タイプについてはセットアップされた完成車もラインナップしていて、今回の発表会はアシストタイプの完成車『JWスウィング』が新たに発売になる。
発表説明で注目したのは、この製品は目が悪い人がメガネをかけるように、足の不自由な方と車いすとの接し方を変えたいという言葉だった。これに内包されているのが、このメーカーにいつも感心させられる精神だ。ヤマハは、たとえばバイクを移動のためのツールだという考え方はしない。所有する人々の感動創造のために作っていると言い切るメーカーなのだ。それは車いすでもきっと同様で、乗る人の生活の潤いを目指している。
さて、いよいよ試乗となった。「なんじゃこりゃー」と、松田優作さんじゃあるまいが、これは大興奮のアシスト力だ。さっき初体験した通常の車いす体験が効いていて、設置された上り坂もラクラクと行ける。アシストする力がすばらしいのではなく、その滑らかさが感動的で、技術の進歩とか作り出す人間の努力とか、そんな次元で感動してしまった。そして、これぞジャパンクオリティだと胸を張るような気分になった。
しかも、アシストモードが選択できて、より力強いモードに変えるとこれまたスゴイ。グーンと伸びる感じ。そんなに力強く前へと行くのに、ブレーキはちょっとリムを叩く程度の小さな力でバッチリと効く。コイツによって、手動の車いすで外へと出かけることに苦痛を感じている方々の暮らしが変わればいいなと、ヤマハと同じ気持ちになった僕だった。
試乗は発表会場に隣接する屋外で行なわれ、会場の警備(!?)が手薄になったところ、僕は展示してあった電動タイプのものをコソコソとスイッチオン。「おおーっ、こっちもなんじゃこりゃー」と、再び優作さん状態で叫んだ僕だ。こっちはスティックの微妙な操作と動きがピタリとシンクロしていて、まるでパイルダーオンして操縦するマジンガーZのような動きだ。って、マジンガーは操縦したことないが(笑)。これまた技術のすばらしさに、深く大きく感動した僕だった。
高齢化社会に向かって、介護補助ツールの重要性は増すばかりだ。今回体験した2種類の車いすは、不自由な方々の暮らしをアシストすることはもちろんだが、介護する側の負担軽減にもつながる。実際に今苦しんでいる方がいたら、問い合わせてみてはいかがだろうか。介護保険でのレンタル制度を利用すれば、軽い負担で生活に潤いを取り入れられるそうだ。
(ヤマハ発動機 JWビジネス部 フリーダイヤル 0120-37-4250)