先日このブログに、桜の開花から満開までをじっくりと味わいたいと愚痴り、そのなかで
“ニューヨークを舞台にした槇村さとるさんの大好きな作品に、季節が極端だとの描写があって強く記憶に残っている”
と書いたところ、読者の方よりその作品は『ダンシング・ジェネレーション』と『NYバード』だろうとの鋭い突っ込みが入った。さらにそのマンガが大好きで全部持っているとのこと。うらやましいと思ったと同時にものすごく読みたくなり、その日のうちに購入してしまった。
約30年を経て読み始めると、記憶に残っているシーンばかりでなく新鮮だ。おおらかな時代といえばいいのか、16歳のオンナの子はいきなりディスコで酒を呑む。夜遅くに家に帰ると、弟から酒臭いぞと突っ込まれるのだからスゴイ。そう、当時のカッコいい10代を描写したマンガには酒を呑ませることが多かった。今だったら大問題だろうな。
当時、女子中高生をターゲットにしたマンガ雑誌のスターのひとつの『別冊マーガレット』、通称『別マ』に連載された作品だ。なんで昭和男道を突っ走っていた僕が『別冊マーガレット』に連載された少女マンガなんか知っているのか。それは当時つき合っていた彼女からの強烈なレコメンドがあって、単行本を無理矢理押し付けられたからなのだ。10代の恋人同士は、なにかと相手を束縛しようとする。そこに趣味嗜好の共通化は有効な手段であり、互いの信頼を深めていこうともしたのだろう。音楽やマンガを含めた本、そして当時のデートの王道といえば映画も、恋人たちの距離を縮めるのに大きく貢献したものだ。
ティーンズ時代の僕の心に、彼女から送り込まれたこの2作品は鮮烈だった。それまで知っていた汗臭い少年マンガとは明らかに異なる世界で、同じ手法を舞台にした表現とは思えないほどの差異を感じた。そしてその話を、当時もっとも近い存在だったバンドのギターリストに話すと、それまで知らなかったが彼は少女マンガオタクだったことが発覚した。ヤバいところのふれてしまい、その日以降同じ趣味を持つ者だとの認識になったようで、強烈レコメンドを受けるようになった。だがそれほど暇じゃないし、別にあんたと嗜好の共通化はしなくともいい。彼女から押し込まれる作品だけに絞り、この後に『ダイヤモンド・パラダイス』なるシンガーが主役の、やはり槇村さとるさんの作品に強くハマったことを、今こうして書きながら思い出した。
恋人同士の距離感短縮ツールと、さも正当な嗜好のように書いたが、少女マンガにハマった作品があるのはチョッピリ恥ずかしくもあって、周囲と話し合ったことがなかった。たまたま冒頭のような文章を書いたことにレスがついたことがキッカケとなり、おいちょっと待てよとの気分になっている今日だ。さらに前述の変態ギターリストの件もある。もしかしたら僕は『昭和40年男』に掲載すべきネタを見落としているのかもしれないじゃないか。特集『俺たちが愛した少女マンガ』は…? うーむ、やはり無理があるかなあ(笑)。
「花とゆめ」と「LaLa」は長く購読してましたが、内容的には「少女マンガ」というには微妙な感。
「スケバン刑事」とか「パタリロ」ですからねぇ。
「別マ」的な王道はほとんど読んだ記憶がありません。
ありましたねぇ、『花とゆめ』。さすがに手は出せなかったですが。