かつての僕、いや、きっとみなさんも一緒じゃないか? ラーメンはどこまでもこってりしていてほしい。パスタも油たっぷりの方がよく、食い終わった皿がギンギラと光り輝くような仕上がりのものに、粉チーズをガンガンふりかける。魚よりも絶対肉で、しかもうまみのヒレより油のロースがいい。残念なことに魚でも、刺身ならハマチやトロ。焼いても油ののり具合次第で満足を得る。たまにそば屋に行けばざるやもりと一緒に、カツ丼やカレーライスで腹一杯にする…などなど、ああ、若さとは恐ろしいものよ。
このような油の強い食事は今も嫌いでないが、さっぱり系の方を好む場面が増え、魚やそばへの依存度が格段にあがった。魚はタンパクな方がよく、油のキツイ白身やトロはほとんど食べなくなった。たまにでかける自分へのご褒美とする寿司屋では、淡白な白身に始まりメインはなんといってもマグロの赤身で、締めはかんぴょう巻きだ。ランチにおけるそばの確率はおそらく8割を超えているだろう。晩も酒を呑まない日はそば食がほとんどで、年間300食は軽〜く超えることだろう。
そばに対してあまりうるさいことはいわない。会社の近所にある老舗そば屋は出かけることが多いが、富士そばだって大好きだし、コンビニそばもちょくちょくいただく。そばの団体から表彰を受けていいのではないかというほどのジャンキーぶりである。そんな僕が、今日のような春の陽気に誘われてのナンバー1メニューがざるそばだ。海苔の香りがそばの邪魔をするなんておっしゃる食通の方もいるが、気にしない気にしない。冷たい水でキッチリとしめられたそばに、磯のいい香りがあわさればほ〜ら、春本番を満喫できるじゃないか。
そんな至福のときを過ごしていた本日のランチタイムで、左右に座った客は強者だった。右隣は写真の結構な量を誇るざるそばと親子丼、左隣はもりにカツ丼なのだ。かつての僕のような本気男2人に囲まれてのざるそば、しかも並盛りはなんだか満たされない気分になっていく。ローリング・ストーンズの来日公演でミックの薄い体を見て以来、かつては僕も得意技にしていた“そば屋ふたつオーダー”に封印している。2人を見ていて思わずカツ丼追加と叫びそうになったがグッとこらえた僕だ。だがさっきからカツ丼が食いたくて食いたくて。うーむ、まだまだ老け込んではいないようだ。今夜は俺、ガツンと食います!!