東京でもやっと春の訪れを感じさせる気候になった。アチコチで花がぶわっと咲き始めて、桜の開花も秒読み段階に入った。モクレンが咲くとその約1週間後に桜が開花するなんて話を聞いた。つい先日モクレンの花を目撃したからいよいよ桜の開花まであとわずかで、満開まではズバリあと10日といったところだろうか。僕が住んでいる多摩川の土手沿いは、名所とまでいわないが花見の時期は人でごった返す。臨時のトイレやゴミ箱もすでに設置済みで、いつの何時からこの場所使いますとの張り紙も増えていて、今週末と来週末のどちらにしようかとの迷いが見て取れて可笑しい。
そんな本格的な春の到来へとワクワクしている気分とは裏腹に、春は部署移動の季節で、次々と知らされる別れにつらい思いをさせられている。仕事を通じて長きに渡ってお世話になった方と、今年は3つの別れがある。そのうち1人は、なんと退社して田舎に帰るというから驚きだ。僕よりも少し年上の彼は、これまで30年以上その会社一筋に勤めてきた。この20年近くは単身赴任で、東京に出てくるときはまだ難しい年頃だった子供3人は、立派に社会へと巣立っていったとのこと。そしてすでに孫が生まれたという。定年を迎えるまであと数年経って、家に居所がなくなってしまうことを危惧したそうだ。「選ばなければ仕事はあるでしょう」と、帰郷後の人生設計は現段階では白紙だそうだ。
もう1人、大きな人生の別れを迎えた者がいる。離婚だ。これは仕事以上に人生の大転換となることだろう。知り合いのなかには何人か離婚を選択をした者がいる。事情を聞けば仕方ないことながら、そこに至るまでの葛藤は相当なエネルギーを使っていて、それをなんとかいい方に回せなかったものかとも思うが、男女の仲ってヤツは古今東西思いのままにならないものだ。今回その決断をした者も、もう3年以上悩んでいたとのこと。そして、相手も同じように悩んでいたようだとのことだった。話を持ちかけたときはアッサリと合意になったそうで、踏み切ったのは少なからずこの季節が絡んでいて「リスタートを切るなら春だろう」と彼は笑ったのだった。
僕の周囲に限っていえば、この2〜3年は離婚の相談が激増している。そして同じく退職の話もグーンと増えた。人生を見直す最後の時期に差し掛かっているのだろうか。立て続けに知った激動の2人と呑んだのだが、その席に悲壮感はまったくなくむしろ晴れ晴れとしたいい表情だった。新しい人生に幸多かれと、大量の酒で祝った。
ともかく、リスタートの春である。僕はといえばもうすぐ迎える50歳代の人生をカッコ良くリスタートさせるため、ダイエットを始めた。このトライ、もう何十回目になるだろう(笑)。