発売直後の恒例、大編集後記をお送りしている。今日は野球特集で取り上げた、プロ野球カードの思い出を語らせてくれいっ。
仮面ライダーカードと入れ替わるように夢中になった。ライダーカードの収集よりも少しだけ大人のコレクションだなと、背伸びした気分を味わえた。カードの裏面にはその選手の紹介文が盛り込まれていて、覚えるのに一役買ってくれ、そのままテレビでの野球観戦の知識になっていったのだ。そういった意味でも、仮面ライダーカードよりずっと大人の嗜みだった。
今回の誌面でアルバムの写真を使用しているのだが、コイツを見たときは涙が出るほどの懐かしさを味わった。そうそう、僕が持っていた唯一のアルバムと同じである。チームごとに並べたり、番号順だったり、はたまた好きな選手から、守備別などなど、アイデアが浮かんではアルバムからカードを全部取り出して入れ直すのを繰り返していた。これは仮面ライダーカードと同じく、なんとも楽しい作業だった。
少ない小遣いの投資を続けてそれなりのコレクションになっていたのに、ある日突然の別れがやって来た。僕の自宅前に数人で集まって、カードの見せあいっこをしばし楽しんだ後、遊びに行こうとなった。我が家は家電販売店で、部屋まで持って帰る時間が惜しいと、店の前に置いてあった空の段ボールに自分のカードを一時保管した。たっぷりと遊んで帰るとその入れたはずの段ボールがない。慌てて母親にたずるねとメーカーが引き上げてくれたというじゃないか。「ゲーッ、まずいよそれは」と母親にすがり、メーカーに問い追わせたもらったが、もうその段ボールの行方は追えなかった。あのやり場のない悔しさったら、今でもプロ野球カードと聞くとこの一件を思い起こすほどのショッキングな出来事だった。その日から、あんなに夢中だったプロ野球カードへは一切の投資をやめた。と、僕にとっては苦い思い出があるプロ野球カードのページは、4ページにわたってお届けしている。
ベーゴマやメンコ、ビー玉も多く集めたが、遊んで賭けて楽しむためのツールの部分が入っていて、カード類の収集とは意識が違っていた。で、仮面ライダーとプロ野球カードは、前述のとおり並べて眺めて所有感を楽しむ、純粋なるコレクションとして楽しんだのだ。この優雅な気分は後に記念切手への投資となり、将来はきっと値打ちが上がるものとの財テク気分も含んで、さらに大人の階段を登ったのだった仮面ライダーカードに始まり、プロ野球カードへとステップアップして、切手収集に至った小学生時代で、今にも繋がる収集癖の土台となっている。こんな昭和40年男は多いのではなかろうか?