大編集後記その弐:マンガ『キャプテン』に学んだ昭和40年男。

本日『昭和40年男 vol.24』が発売だ。カワイイ最新号のPRを兼ねて大編集後記とさせていただこう。

キャプテン俺たちの少年期において、マンガの主役は圧倒的に野球だった。そのファーストコンタクトになったのは『巨人の星』ではないか? リアルタイムでないものの、テレビの再放送で何度も見て、これが野球愛の素地になっている昭和40年男は多いだろう。当時の再放送ってのは原作を読み込むよりも、ある意味強い影響を生むことがある。なんてったって毎日見ることができたのだから。

『巨人の星』は頻繁に再放送された作品の1つだ。その内容もさることながら、オープニングのテーマ曲はまさに俺たちへの呪文のように擦り込まれた。父ちゃんと2人で雪の中を走り、ノックの球を体で受け止める。夕陽をバックにうさぎ跳びする姿を、姉ちゃんは涙を流してこらえながらで見守っている。そして歌は佳境に入っていくのだ。血の汗流せとか涙をふくなとの猛烈な説教を突き刺してきて、エンディングでは判宙太と抱き合いながら涙を流す。これが何度も何度も俺たちに擦り込まれたのだった。

先日ラジオ出演のお相手をしてくださった、ラジオ日本のタメ年パーソナリティ・加藤裕介さんもバリバリの野球少年だったそうで、僕が少し下の世代に強い影響を残した『キャプテン翼』の「ボールは友達」に強い違和感を感じると発言すると、そうだそうだと大いに盛り上がった。僕ら野球世代にとって、ボールは暴力だったなと(笑)。野球とは、のめり込めばのめり込むほどバイオレンスになり、それに堪えぬいた一部の人間だけが甲子園に出場し、さらにはプロ選手となり、最終目標は巨人の星をつかむ。そんな野球観を素地に持っている少年たちに向けて、野球マンガは根性物語ばかりだった。後に、名作『すすめ!!パイレーツ』やあだち充先生の作品群によって緩和されるが、『キャプテン』に代表される死力を振り絞っての取り組みこそが、少年期における野球マンガだった。

と、長い前ふりからPRさせていただこう。今回の特集では、数ある名作野球マンガから『キャプテン』をピックアップして検証記事を作っている。物語を彩った個性的な4人のキャプテンの分析や、今あらためて作品の魅力を探るページは、きっと昭和40年男に突き刺さるはずだ。さあ、書店・コンビニへと走ってくれ!!

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