ローランドは、同社の伝説的な電子楽器を再現したAIRA(アイラ)シリーズで、リズムパフォーマー『TR-8』、タッチベースライン『TB-3』、ボイストランスフォーマー『VT-3』の3機種を発売した。
AIRAシリーズでは、上記3機種にローランドの新技術“ACB(Analog Circuit Behavior)”を採用している。単に現存するマシンのアナログ音を真似るのではなく、部品や回路からモデリングしてゆく手法をとり、結果として当時の部品にあった挙動やクセまでも音として再現しているという。
デジタル内部処理はすべて96kHz/32bit浮動小数点演算により、アナログの再現性が高くなっている。また、USB端子による外部機器とのMIDIクロックの送受信はもちろん、出力をそのままMac/PCへ送ることも可能となっている。現代的なインターフェイスを持たせることにより、コンピュータや各デバイスとの連携がしやすくなった。
『TR-8』は、80年代に発売された名機『TR-808』(80年)、『TR-909』(83年)をモデリングしたリズムマシン。両リズムマシンは、テクノ、ハウスはもちろん、ロックからヒップホップまで幅広く浸透し、いまだ現役で使われているものだ。今回の進化形『TR-8』では、シーケンサーの“揺らぎ”まで再現する一方で、中央にボリューム・フェーダーを装備するなど、従来にない操作性の改良がされている。
『TB-3』は、ジャコ・パストリアスも使ったという『TB-303』(82年)を再現したベースマシン。独特のノコギリ波と矩形波で強烈なウネリが特長。結果的にアシッドハウスというジャンルを確立させたとして神格化されている。今回はそのオリジナルのフィルターサウンドや偶発的な音を引き出す操作性加え、リアルタイムでのコントロール性の向上、“改造TB-303”のようなプリセットサウンドなども搭載された。
『VT-3』は、ボイス・トランスフォーマーとして人気を集めたBOSS『VT-1』(81年頃)を、現代の技術で蘇らせた製品。10種類のアルゴリズムを搭載し、ロボット・ボイスやボコーダー・ボイスを簡単に作り出すことができる。
音については世界中で新旧比較がされている点も興味深い。旧製品の中古価格が下がらないなかで、ローランドが本気で取り組んだ次世代機には注目が集まっている。なお、AIRAシリーズの4機種目、プラグアウトシンセサイザー『System-1』は、現時点で6月発売とされている。
価格は全てオープンプライスで、実勢予想価格はリズムパフォーマー『TR-8』が5万400円前後、タッチベースライン『TB-3』が3万450円前後、ボイストランスフォーマー『VT-3』が2万1,000円前後となっている。