うちの社が出版事業に手を出して10周年を迎えたので、
間にいろいろはさみつつ、これまでのことを振り返りながらつづっている。
発売騒ぎでずいぶんと開いてしまったが、
イケイケドンドンと出版物を増やしていた2005年のころに遡っている。
『レディスバイク』の創刊と『バイクまるわかりシリーズ』と称しての実験がこの年の勝負だった。
俺にとって初の女性誌となった『レディスバイク』は見事にヒット作品へと育ち、
『バイクまるわかりシリーズ』はビジネスサイズそのものは小さいものの、
どこに読者さんがいるかを確認しながら発行を繰り返していった。
その裏で、翌年の勝負を視野に入れている、スーパーハイパービジネスマンな俺だったのである(スンマセン)。
ここで研究を進めていたのが、少々年齢層の高いターゲットに向けたバイク雑誌で
社内コードネームは「バイク版レオン」だった。
この時に、レデイスバイクでやった手法が存分に生きたことになる。
現象を読んで新しい需要を創造するというヤツだ。
よくよく考えると、俺たちが世話になった雑誌たちの多くはそうやって切り込んできたのだろう。
『昭和40年男』最新号のコラム“それにつけてもパンチな日々”(P107)なんかを読んでいると、
嗅覚の高い人間が「うりゃー」と遊び心満載でつくっていたのだろうと感じる。
この段階で確かに雑誌『レオン』が提唱した“チョイワル”は時代の象徴であり、
バイク乗りにはその感じはうまくフィットする。
バッチリまとまるなと思いながらも、つまらないと思う自分がいた。
なんだかフォロワーっぽいものねえ。
そんなとき、いくつか注目の現象が起こった。
ひとつは堀江さん騒動である。
時代の寵児をもてはやしていた大人たちの発言が、
例のテレビ局問題あたりから少々変化を起こした。
それまでは、時代の寵児として堀江さんの言動を味方するふりをしていた大人たちが多かったように思える。
実は心の中では苦々しく思っているのに、部下や社会とのテンション感で発言をひかえていた親父たちが、
徐々に批判側に回り始めた。潮目が変わった気がした。
もうひとつ。
『国家の品格』なる本が中高年層を中心にベストセラーとなっていた。
買ってみるとなるほど、こうした本がベストセラーになるのかと流れを確信できた。
大きなうねりが起こっていたのだ。
まさに『レデイスバイク』創刊における負け犬騒動の如く、
俺はこの現象を飲み込みバイクに乗る中高年に充ててみた。
おもしろくなってきたぞ〜!!という瞬間だった。
続くぞな。