煮込みを愛する昭和40年男。

煮込み痛風が怖いからあまりよろしくないのだが、モツ料理は酒を呑み始めたときからの長い付き合いで、とくに煮込みの魅惑から逃れることはまずできない。昔の煮込みといったら、少々の豚白モツを野菜やこんにゃく、豆腐で埋めるような一皿が主流だったが、昨今は様々な煮込みがある。鳥や牛のモツをふんだんに使って、さらに凝った味付けの煮込みが増えているから、なおのことやめられない。居酒屋に入って煮込みの文字を見つければ、まず頼まないことはないジャンキーぶりである。

今の街に引っ越してきて見つけた、一軒の居酒屋にハマっている。鳥もつ煮込みが絶品で、ここ近年はもっともよく訪れる店になった。煮込みにちょいとうるさい『浅草秘密基地』の常連客の1人をわざわざ連れてきたこともある。
「今の俺にとって日本一の煮込みだ」と紹介すると、彼も絶賛してくれた。浅草でうまいモツ煮をいただくことが多い2人だが、ここは頭1つ抜けていると思う。もっとも好みも大きいから、鵜呑みにしてガッカリなんてことがないとは限らないが。

この店は、ほぼ僕らとタメ年の老舗で、親子二代の家族で切り盛りしている。オープンの板場を親子でテキパキと回し、息子の嫁さんが板場の補助とホールを兼任する。パートさんがもう1人ホールに出て、計4人でわりと大きなハコをキチンと動かしてるのだ。親子と嫁がいつも張り切っている姿が微笑ましく、近所の常連さんたちに愛されている。古き良き居酒屋でありながら、息子夫婦の若い感性が程よくミックスされていて、伝統的な居酒屋メニューに斬新なオリジナル料理が加えられ、飽きることなく楽しませてくれる。刺身と煮込み、焼き鳥は必ず食べなくてはならぬから、新しい料理にチャレンジするのは一回の訪問でせいぜい2皿程度だ。このチョイスが楽しくて、先日はついつい長っ尻になって、すっかり酔っぱらった。

居心地のいい店とはなんぞや。いつも考えさせられるが、結局のところ自分との相性に尽きる。この店に対しても、ネット内の口コミを見るとすべてが褒めちぎっているわけじゃなく、先日ウチの息子を連れていったときも、さほど喜んだ様子ではなかった。50歳を目前にしたおっさんと、27歳の青年が同じ店を支持するのもおかしな話で、とくに居酒屋ってヤツは嗜好の差が出やすいかもしれない。僕がその大きなファクターの1つに挙げるのが、言うまでもなく煮込みのうまさである。それと加えて、ご主人やおかみさんが僕より年上であることも居心地を大きく左右する。これは、僕自身が年齢を加えていくごとに、当然ながら厳しくなっている。最近では年下の主人が断然増えているのを感じつつ、やはり年上の世話になりたいと探している。この鳥八はその条件を満たして、僕を存分に楽しませてくれるのだ。〆切がすぎたら、きっとまた出かけることだろう。

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4件のコメント

  1. 旨いもの喰って、にごり酒で悪酔いも悪くはない。

    • にごり酒の二日酔いでスゲー後悔したことがありますよ。キツイですよね。

    • はい、最近はすっかり焼酎ですよ。でも、どちらかといえば醸造酒の方が好みで、モツ同様困ってます。

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