♪赤頭巾ちゃんご用心♪と、スマッシュヒットを飛ばしたアイドルグループのレイジーは、タメ年の皆さんに強く記憶されていることだろう。しかし、完全な一発屋と思われた。記憶から消去されそうになっていたところに、たしかNHKの歌番組『レッツゴーヤング』だったと思う、ハードなナンバーを演奏している彼らの姿を久しぶりに見たのは中2の冬だった。僕はその頃ギターを弾くことにもっとも時間を使っていて、ツェッペリンやパープルをコピーしては練習に励んでいた。日本人がこんな曲を演奏するんだと衝撃を受け、翌日ギター仲間の1人に話すと彼もテレビを見たという。「赤頭巾ちゃんご用心」のレイジーがどうなっているんだとたずねると、姉ちゃんのいる彼は得意げに言った。
「もともとハードロックを好んでいたバンドで、バンド名もパープルの曲名から取ったんだ」と。
この番組で演奏されたのは「ドリーマー」という曲で、レイジーのラストアルバム『宇宙船地球号』に収録されていると彼は続けた。そういえば、当時の僕にとってのバイブル『ミュージック・ライフ』に広告が出ていたのを瞬時に思い出した。そして彼の姉ちゃんはそのアルバムを持っているというじゃないか。祈るようにお願いして貸してもらい、テープに落として聴きまくった。日本にもこんなバンドが存在するんだと驚喜し、とくにギターの高崎 晃さんにノックアウトされた僕だった。
と、つい先日こんな思い出話で大手レーベルの広報マンと盛り上がった。彼も大好きだったとレイジー話が約30分に渡り交わされたのだった。これが昨日の読者ミーティング「浅草秘密基地」で、きれいに繋がって再燃したのだ。1人の読者さんがこのアルバムを持っていて、僕に見せるじゃないか。
「おーっ、これはつい先日話題になったよ」と、中2のあの日のごとく貸してもらったのだった。いやあ、懐かしい。中学生の頃、テープが伸びるほど聴いた曲たちが、思い出と一緒に鮮やかに蘇る。毎日毎日ギターを弾き、どうしたらうまくなれるかだけを考えていたあの日々だ (嘘、オンナの子のこともいつも頭にあった)。アナログ盤ではA面ラストに収録された、高崎さんによるインストナンバー「遥かなるマザーランド」をコピーして、真似してオリジナルを作ろうとトライしたりもしたなあ。
それほど聴き込んだアルバムなのに、そしてつい先日酒の席でさんざん盛り上がったのに、なぜか手に入れようとしてこなかった。偶然の再会を演出してくれた持ち主に深く感謝している。そして、ありがとう「浅草秘密基地」と今日は興奮気味の僕だ。
前々回大阪ミナミ秘密基地の後半ラウドネスをかけてみたんですが…覚えてらっしゃるでしょうか?
ラウドネスは聴いてないんですよ。ちょうど活躍していた頃に、ハードなもから心がはなれていったんです。やがてたどり着いたのがシカゴブルースでした(笑)。