今日は、ホンダ青山本社でニューモデル発表会があり出かけてきた。ホンダにとって、新開発の50ccスクーターとしては12年ぶりの国内投入となる『Dunk』と、グローバル新型4気筒650ccエンジンのお披露目である。会場到着から始まる、ホンダらしい演出(!?)は楽しかった。受付を済ませると節分の豆が配られ、鬼と福のミニお面がついていてどちらかをセレクトしなければならない。今夜もバッチリと開催する読者ミーティング『浅草秘密基地』にコイツはいいやと、福をいただいて会場内へ。さあ、もう間もなく始まるぞとのところで、プロジェクターには節分について説明するフリップが提示され、続いて今日この会場に4人の仕事の鬼が来ると、後に登場するプレゼンテーター4人の顔が鬼に加工されて映し出された。「ナイス」である。そしてその4人があらためて司会者によって紹介され、つかみバッチリのまま発表会は始まった。
とくに評価したいのは、50ccスクーターの国内投入だ。完全なるブランニューモデルでエンジンも新設計でのぞむ。以前にもふれたが、日本の50ccにあたる世界のスタンダードサイズは免許制度を含めて125ccで、世界中で爆発的に売れている。逆に、50ccのマーケットは極々小さなもので、日本でもコミューターとしての価値は低くなってしまった。速度規制時速30㎞なんて、アシストつき自転車や昨今ブームのチャリンコより遅い。何十年も前に施行された法律が、そのままにまかり通っているのが日本の事情なのだ。実際に原チャリに乗って、大きな通りを時速30㎞で走ろうものなら、おっかなくて苦痛以外のなにものでもない。さらに2段階右折なんてのも押し付けられていたりと、道路で最も弱い立場の乗り物に成り下がっている。そのままに、市場規模は縮小を続けている上に、世界でもマーケットがないのだから、ニューモデルを投入するのは採算的にかなり難しい。当面の赤字は必至で、開発費を取り戻すのは相当な年月を要するだろう。
メーカーの本音としては、出したくないのではないか。それでも投入するのは、少ないながら国内においては需要があるからだ。たとえば、宅配業者の多くは50ccでまかなうのが最も適切な手段となる。16歳になればカンタンに免許を取得でき、さらに多くが取得する自動車には付帯である。これが中免となるとものすごくハードルは高くなってしまう。バイクブームのまっただ中で育った昭和40年男にとっても、免許取得率はそう高くはない。だから、事業でバイクを使うとなると、今の免許制度だと50ccでなければ対象者が極端に限定されたしまい、そのまま事業コスト増になってしまうのだ。だが、前述のとおり法律でガチガチに縛られていて、積載量までも制限されている。きっと厳密に調査したら、新聞配達を含む多くの宅配事業の現場では、違反者が少なくないだろう。
現行の原付免許を世界のスタンダードに合わせられれば、まずバイク自体が安くなり手を出しやすくなる。選択肢も増え、乗っても快適でユーザーにとってありがたい要素しか見あたらない。交通の流れにスムースに乗りながら、積載量もパワーも大きくなるから、宅配事業もメリットになるばかりでなく、ビジネスチャンスも生まれる。逆に警察が法改正に動かないことで、こうしたユーザー環境やビジネスチャンスをつぶしているのだ。メーカーにとっても、世界から完全に後れた日本の事情に合わせて、採算性の極端に低いバイクを作り続けなければならない。
とくに今回の投入モデルは、10代をターゲットにして通学や通勤などに役立ててもらいたいと考えているそうだ。ビジネスユースよりもさらに需要は小さいが、必要としているユーザーも少なからずいる。これらのニーズに対して、トップメーカーの責務としか思えない。「世界のホンダが日本を無視できるわけねえだろ」と、このブランニューモデルからはまるで叫びが聞こえてくるかのようである。その姿勢はあっぱれなのだが、その前に錆び付いた法律がドラスティックに変わるように、トップメーカーとしてもっと国家にコミットしてほしい。もちろん、僕も小さな力ではあるが声をあげていくつもりだ。
何をもって「評価したい」と言っているのか、理解できません。もしも50ccが編集長の言う通り、そんなに危険な乗り物なのであれば、メーカーは安全を最優先すべきという立場に立てば、発売するべきじゃないという考えもあるのではありませんか? また、小さな需要に答えることが正義だとおっしゃるのであれば、もっとほかのカテゴリーに再考すべきモデルがあるとは考えられませんか? オートバイの雑誌を多数出版されている雑誌社の社長さんの発言にしては、浅はかすぎます。