今回の特集はテーマを『力』とした。
小笠原と日々議論を重ね、社外編集員たちにも投げる。
「あのさー、テーマは力なんだよね。昭和40年男がこれからもがんばる力」
と、これだけの発注である。
こんな小学生以下の発注に「うりゃー」と答えてくれる男たちがいる。
ああ、幸せ〜とひたっている場合でない。
自らも企画を練り上げる。
加えて、いいアイデアを出してくれた編集者たちと、ガンガン詰めていく。
アイデアの応酬というか、意見をガチンコでぶつけ合う。
これもものづくりの醍醐味で、すごく楽しい。
カメラマンを名乗っているが、俺にとっては編集者であり物書きだと思っている武田から
川原さんの名前があがった。
「?」
「島田紳助がテレビで紹介してますよ。有名人ですよ」
「?」
あきれたように人となりを説明する武田に、そいつはスゲェとなりコンタクトを取るように依頼した。
ほとんど日本にいない彼の取材をするのはまず日程ありき。
突然連絡が入ったのだった。
「明後日福岡でならつかまります。飛んでいいですか?」
「おうよ、飛んでくれ」
そして小声で「でもできるだけ安くね」と付け加える、格好悪い俺だ。
今回の力特集はこうして取り上げようとするアイデアありきで、組み上げていくことにした。
いいアイデアが出てくればガンガン取り入れ、整理しながらセクションをまとめていく。
川原さんは人間力と分類して、もう1人を捜していたら
小笠原からボートレーサーで活躍する江口さんの名前が挙がった。
ものすごくストイックな方で「いいじゃん、完璧だよこのタメ年2人は」と、はしゃぎまくる俺だった。
インタビューを終えると思った通り、2人の言葉はどれもズシリと来るよ。
特集のド頭は、この2本のインタビューでスタートさせることをすんなりと決定できた。
第4作目だからだと思うが、参加してくれている人間たちが本の性格や方向性をつかみ、
それだけでなく新しい方向性の模索さえしてくれる。
意識が深くなっている。
だから企画そのものも深くなる。
すると意見の交換も深いものになる。
うん、いいグルーヴだなあ。
状態のいいバンドみたいになってきたぞ。
楽しみだなあ、みなさんとの決戦の日が。
あと2日だ。