うちの社が出版事業に手を出して10周年を迎えたので、
間にいろいろはさみつつ、これまでのことを振り返りながらつづっている。
出版をやったことない会社が、出版コードを取得するために
大変な苦労があったことは述べてきたとおりだ。
ところがこの業界は不思議なもので、1冊やってしまえばあとはわりとラクなのである。
臨時増刊という方法で増殖させていくのだ。
わかりやすくいうと、現在『昭和40年男』は
『タンデムスタイル』の臨時増刊での出版を繰り返している。
臨時増刊とは、持っているコードと同一ペースで出すことのできる
権利のようなものだと思っていただければいい。
『タンデムスタイル』は、当時隔月発行だったため
年に6冊の別ブランドでの本を出すことができる。
ここでテストを繰り返していきながら実績を出していけば、独立したコードを取得できるのだ。
余談ながら『昭和40年男』が今考えている作戦としては、
来年の3月発売号から隔月発行にして、それから2〜3年の実績を積んで
コードを取得したいと考えている。
社内で『タンデムスタイル』に臨時増刊をぶら下げると発表したのは秋のこと。
社内からアイデアを募り『カスタムピープル』という雑誌を作ることとなった。
翌年2001年7月が創刊のターゲットとなり、準備に入った。。
この雑誌もまた、自分にとっては始めての試み満載だったのだ。
まず第一に、ベースとなる企画が自分じゃない。
社内の、とくに営業サイドからの要望だった。
バイクにとってカスタムというのは大きなマーケットがあり、
そこを対象に営業できる自社発行の雑誌がほしいという。
プラスして、これからも続いていく分野だから会社にとってもメリットがデカイ。
うん、どちらかというとビジネス思考から入った雑誌ともいえなくはないけど、
できあがったものがキチンと読者にとって有益なものになっていればいいのだと取り組んだ。
もうひとつは、明確な競合誌があること。実はこれがでかかった。
これまで手掛けた3誌は、どれもいい言い方をするとエポックメイキングなものばかりで、
広くバイク雑誌という意味では競合になるものの、
出るたんびに“なんじゃこりゃー!!”という騒ぎを起こしてきたのだが、このときは明確に参入なのである。
これはこれでエネルギーがいる。
競合はあるのだけど、俺たちワールドを炸裂させなければならず本当に苦労した。
企画立案上も“あっち”を意識しないといえば大うそつきになる。
そんなややこしい苦労を重ねながらであるが、無事に自分たちの世界観をつくりあげて創刊にいたった。
『タンデムスタイル』の創刊から1年と3ヶ月、クレタの雑誌が書店に2冊並ぶようになった瞬間だ。
あれから9年が過ぎた『カスタムピープル』は、現在3代目編集長ががんばっている。
俺がつくったときに苦労した表現だったり、企画だったりも一部残りながら、
今らしい本になって書店に誇らしげにならんでいるのさ。
今では競合誌のことをまったく気にすることなく、
自分の路をゆく雑誌にまで成長したと自画自賛できるほどになったのだ。
創刊から堅調な数字を出し、社としては2つめのコードを取得できて、さらに月刊にまで育ったのである。
続くよーん