いつからだろう、こってりラーメンにまったく魅力を感じなくなった。周囲にはヘッチャラなタメ年男たちもいるが、僕が自分自身でこってり系を選択することはない。お付き合いや、呑んだ後にそれしか見当たらなかったときにいただくことはあり、決して食べられないというわけじゃない。先日の九州出張では、せっかく本場に来たのだからと豚骨ラーメンを3杯もすすってきた。だが、ここ近年の好みといえば、昔ながらのラーメン屋が出すスッキリ醤油味だ。化学調味料が入っていても気にしない。それが幼いときから親しんだラーメンの味だからだ。
東京都の蒲田という街に住んでいたことがある。かなり濃い街だ。小さな工場がたくさんあって、かつては羽振りのいい親父さんたちが豪遊していた。庶民的ないい店がたくさんあって、昨今ではラーメン店の激戦区の1つにもあげられている。僕にとってそんな激戦と無関係なのは、こってり系での戦いが繰り広げられているからだ。だがどっこい、昔ながらのラーメン店も元気なところが多い。
先日蒲田で仕事の打ち合わせがあり、終わったときに昼時だったため、かつては月1ペースで通っていた『味の横綱』へ向かった。カウンターのみ10席ちょっとの、ちょっぴり怖い親父さんがてきぱきと腕を振るう、僕にとっての名店である。おそらく今どきの若者には、何もおもしろくない店だろう。ここの醤油ラーメンときたら、直球ストレートど真ん中の昭和味である。と、腹を鳴らしながら店に着くとお休みだった、ガーン。残念だったが蒲田は奥深い。それならばと向かったのは『味の横綱』のすぐそばにある『武田流古式カレーライスと支那そばの店、インディアン』だ。メニューは支那そばとカレーライスのみで、大盛りやチャーシューの追加しかメニューにはないシンプルさだ。きっとこだわっているだろうが、それを押し付けるような姿勢はまったく見えず、店内は古き良き時代の空気を満喫できる。
支那そばとカレーライスのどちらにするかとの究極の選択はしなくてよい。支那そばと半カレーセット1000円也で、大満足できるのだ。大食らいの方々は、カレーをレギュラーサイズにしたセット1150円があり、さらに大盛りもできる。女性でも半カレーセットを頼む方がほとんどなほど量は控えめで、スッキリスープのラーメンだからよけいに完食は楽勝だ。黄金色で透き通った美しいスープの塩ラーメンが先に出てきて、しばらく食べ進むとカレーが出てくる。支那そばはどこまでもスッキリとしていて、逆にカレーの方はしっかりと煮込まれたデミグラスソースのような色に仕上げられ、濃厚でスパイシーな味を楽しめる。この対極の味を満喫できるのが『インディアン』の魅力である。
全国にファンがいる『昭和40年男』としては、ローカルな話題を出してしまって恐縮ではあるが、近くにお越しのときはぜひ立ち寄ってみてはいかがだろう。もちろん近隣の方で行ったことがなかったら、僕の好みがわかるはずだ(って、どうでもいいが)。「最近こってりはどうも…」という、僕のようにちょっと老化を感じている諸氏は、きっとお気に召すと思う。
昭和40年のくずっぷりがよくわかるものすごい頭の悪そうな文章だなww