鈍行の旅企画、2日目の朝だよーん(昨日ね)。
5時にホテルを出て、岡山駅へと向かい5時18分に旅がスタートした。
1時間ほどして気が付いた、昨日に比べると格段に電車の進行が悪いというのか遅い。
停車駅が多く、しかもチョクチョクと速い電車に抜かれるものだから、待ち時間も多いのだ。
そこでひらめいた天才編集長の俺だ。
カメラマンの武田に「別行動を取ろう」と提案した。
速い電車を利用すればカンタンに先回りできる。
なんてったってこっちは遅いのだから。
こんなこともあろうかと俺もカメラは持ってきているから、車窓は押さえられる。
ひたすら時刻表を覗き込む武田は「やってみましょう」と、広島で機材を持って降りていった。
いやー事件は…、じゃない取材は現場で起こっているんだねえ。
こうなると今回の企画テーマである、一人旅を感じることができる。
よーし、集中しちゃうよーと、車窓を眺めながら1人で鈍行旅する(昨日も極力離れて座った)心をたずねる。
うん、いいね、いいねを繰り返しながら、顔がにやついてくるのだ。
老紳士と出会った。
「こちらの方ですか?」
「はい」
顔って人を現すよね。「はい」と返事してもらえることが瞬間的に予想済みだもの。
「いつか鈍行でのんびり東京まで旅がしたいものです、逝く前にね」
「なにを寂しいことおっしゃるんですか。おいくつですか?」
「91です」
どっ、ヒャー!!!!!!!!
俺のこれまでの人生×2+1だよと、わけのわからん計算をして驚愕したのだった。
「それでは気をつけて、よい旅を」
「おとうさんもお元気で、いつか東京に来てください」
たった一駅区間分のコミュニケーションだが大きな大きな財産になった。
そんなこんなで旅は続いていく。
いったん離れた武田と新山口駅で合流して、互いの健闘を称え合った。
やがて本州から九州へと入り、どんどん進んでいく。
明日の旅程を考えたうえで、熊本を最終ポイントに決めた。
昨日裏切られた2つの城へのリベンジをかねてだ。
熊本城で写真を撮る。
負けが続きひびっている俺は、携帯で検索してみるほどのチキンぶりだよ。
うん、たぶん工事はしていないぞと、やっと会える城へと思いをはせたのだった。
と・こ・ろ・が。
雲行きがあやしくなってくるじゃないの。
そして偶然というにはあまりにもジャストミートなタイミングなのだが、
熊本駅で降り城へと向かおうとした瞬間、大粒の雨が降り始めた。
三度叫ぶ、おーまいがっ!
だが2人はゆく、雷の音が響き渡り尋常でない雨が叩き付ける街をゆく。
こんなに見事なまでの線を描く大量の雷を見たのは人生で初めての経験。
神はここまで城を遠ざけるのか?
負けない、負けないぞ。
俺たちはやっとのことで城とのカット撮影に成功した。
んなこたあ、なんでもないことなのは100も承知だが、もう一度言いたい。
俺たちは城との撮影に成功したのだー。
びしょぬれだけどね。
楽しみにしていてね、次号の写真を。