現在『昭和40年男』によって『夢のモーターショー』が開催されていて、どうやら好評をいただいているようだ。そしてこの素晴らしいショーを追いかけるがごとく(笑)、今週末より『東京モーターショー』が始まる。今日と明日はプレス向けに取材解禁日となっていて、朝8時から夕方の6時までずっと会場に張り付いた。足と腰が悲鳴をあげているのに、ずいぶんとなまっているものだと痛感させられている。さっきから疲れでクラクラしながら、たまっている業務を進めているところだ。
それにしても、世の中にはこんなにもたくさんのプレスがいるものかと、驚くほどの人が押し寄せてくる。とくに初日の今日は、報道向けに各社から趣向を凝らしたブリーフィングが行なわれるから注目度が高い。幕で覆ってある、ショーお披露目モデルをどうだと見せたり、フィルムとサウンドを駆使してまるで異次元に連れて行ってくれたり、そしてなんといってもお偉いさんから強いメッセージを聞けるのがうれしい。世界を相手に立ち向かっている企業の精神や、描いている近未来などにふれられることは強烈な刺激になる。脳がメキメキと動かされ続けることも、このとんでもない疲れに繋がっているのだろう。そんなブリーフィングでビックリしたのは、ヤマハが四輪を発表したことだ。トヨタ2000GTに強く関与したことは有名な話だが、それ以来、まるで禁じ手のように作ってこなかったのに突如としてその姿を示したのだ。しかもずいぶん作り込まれていてやる気を感じさせる。今後どのように展開していくのかが非常に楽しみである。
やや不謹慎だが、多くの懐かしい方やごぶさたしてしまっている方とお会いできることもプレスデイの楽しみの1つでもある。このショットはそんなうれしい再会を収めたものだ。僕の隣にいるちょっとあやしい風体の方は、カワサキのデザインに変革をもたらした田中俊治さんで、もうひとりは田中さんの厳しい指導に堪えぬいた現在のデザイン部長、福本さんだ。田中さんはカワサキに来る前はマツダにいた。初代ロードスターのデザインに関わっていたり、ファンの間ではちょっと知られた存在らしい。カワサキに移って数年前に引退した彼だが、こうして会えるのはモーターショーならではだ。そしてファンの間ではちょっと知られた程度かもしれないが、クルマ関連のデザイナーやプレス関係の人間にはかなり知られた存在なのだ。懐かしく談笑している間にも、次々にひとが寄ってきては握手を交わし、時には女の子と抱き合ったり(笑)と、数多くの人が寄ってくる。現在66歳。カワサキ引退後もいまだにクルマのデザイン関連の仕事で現役だとのこと。
「田中さんは生涯現役ですね」との僕の言葉に、うれしそうにしながらも「もう、孫をかわいがりながらゆっくりしたいよ」と笑った。カッコいいじゃないか。社会が彼を必要としているのだ。こんな刺激もモーターショーならではのことで、後日呑もうと約束して別れたのだった。
なんだか特権を享受しているみたいで嫌味を感じられてしまうかもしれないが、いつも前を見て進み、時にはバッサリと斬られながらも這いつくばってきた結果だと思っている。そして、同じように苦しんだ者同士だから、こんな再会を心の底から分かち合えるとも感じている。そんな再会の数々を楽しみながら、まだまだ甘んじることなく積み上げていきたいと気持ちを新たにできた、有意義な1日だった。足腰の痛みと大きな疲れが、これらの代償ということかな。
二年に一度の男の夢・男のロマンだよ~。
ホンダ S360が見たい!!