出版事業に手を出して10周年を迎えたので、振り返りながら連載で綴っている。
97年の春に創刊した『ジパングツーリング』は、大ヒットと言っていい結果を得た。
実売率がほぼ7割というのは、デビュー作としてはすばらしいと
出版社からおほめの言葉をもらい、また購入者からも励ましの言葉を多数もらえたのだった。
大成功のはずなのだが、利益が薄いビジネスになってしまうという、なんとも歯がゆい状態になってしまった。
この時の出版社との契約は、うちは編集費とDTP作業費をもらう。
逆に広告の全権使用料を出版社に払うというもので、
その差額は70万円あり、この時点でなんとうちはマイナスなのだ。
ならどうやって利益を出すのかというと、ひとつはもらった編集費より少ない金額でつくるということと、
もうひとつは広告をたくさん取ることだ。
だが編集部はジャカジャカ金を使う。
もらった編集費どころか、DTP作業費を足しても軽〜くオーバーしての補填状態が続いた。
初めての編集部ということでこちらもある程度目をつぶっていたのだが、
やがて削減をお願いすることが多くなったが、あまり聞いてはもらえなかった。
ならば一方の広告でがんばりたいところだが
A5サイズなんだから安くしろという過酷な営業になり、
また編集方針としても旅を楽しむという方向性の絞り込んでいたため、対象となる広告主が限られる。
たくさん売れたお金でうれしいのは、出版社だけということになってしまった。
うーん、版元と呼ばれるだけあって大きな利権だなあと感じ始めたのはこの頃からだ。
出版社になりたいなぁとも…。
続くよーん。