今日は主催のイベントを終えたら、そのまま鈴鹿サーキットへと向かう。かつてバイクブームの頃は、僕ら世代がドッサリと詰めかけていた『全日本ロードレース選手権』だ。1000ccクラスのJSB1000(ジャパンスーパーバイク)を最高峰にして争われ、今日が最終戦で今年のチャンピオンが決定する。
現時点でのシリーズポイントは、ホンダの高橋巧選手が118ポイントでトップ、続いてカワサキの柳川明選手が116、ヤマハの中須賀克行選手が111、スズキの津田拓也選手が107と例年にない接戦を、しかも4メーカーより1人ずつの選手で演じている、極めておもしろい展開で今日を迎える。しかも今日は2ヒート行なわれるから、この4人のポイント差はないようなものとまで言わないが十分にひっくり返る。1位が25ポイント、以下22、20、18、16となり、それより下の順位は1ポイントずつ下がっていく。転けてしまったらリカバリーして上位に食い込むのはまず絶望的になる。ポイントが僅差だから、どの選手もおさえることはしないでいくだろうからリスクも高く、見ている方としてはスリル満点だろう。いやあ、楽しみだ。
僕にとってはちょっと苦しさもある。全員よく知っているライダーなのだ。高橋さんと津田さんは今日行なわれる『ラブ・ジ・アース ミーティング』のゲストとして清掃に参加してくれ、ゲストトークショーのステージで僕はアレコレ聞き出している。中須賀さんもインタビュー取材をしたり、会社に来てくれたりと縁があり、柳川さんに至っては、何度一緒にステージに上がったかわからないほどだ。つい先日も、カワサキのイベントでご一緒させていただき、冗談まじりに「今年チャンピオンが取れなかったら、クビですよ」と言って、会場を微妙な空気で包んでいた。6個下の42歳で、この4人の中では最年長になる。全日本は今年で10回目のチャレンジで、いつもいいところにいるのだがチャンピオンは1度もない。ベテランにとって今日は大きなチャンスで迎えているのだ。と、書いていると柳川さん贔屓なのかと取られそうだが、いやいや、みんな大好きなナイスガイばかりなのだ。
そして僕が取材にあたるプレスルームには、いつもお世話になっている4メーカーの担当者たちがつめている。誰かに「おめでとう」と言い、あとの3社には「残念でしたね」と声をかけるのも苦痛なのである。いっそ、2ヒート目はスタンドで見ようかなと思っている。
さてみなさん。10代の頃に夢中になったレース会場へと足を運んでみないか? 近年まれに見るデットヒートがきっと見られるぞ。