昨日は次号の『ガツンとひと言。兄貴の説教』の取材に行ってきた。杉田二郎さんの登場である。名曲『戦争を知らない子供たち』のヒットを、リアルタイムで経験したわけではない昭和40年男だが、様々な場面で聴き、心にズッシリと残っているはずだ。杉田さん自身が昭和21年生まれで、まさしく戦争を知らない世代である。まったくの余談ながら、僕らはオリンピックにおいて同じ境遇にあり、戦争どころか日本の大きなターニングポイントとなったオリンピックさえ知らない子供たちということになる。
杉田さん自身の作曲によって歌い上げられてヒットしたが、戦争を知らないとの言葉に対する様々な意見をぶつけられ続けられる苦悩があったそうだ。ここら辺のくだりは次号のページを待っていただきたいから書けないが、心に突き刺さる言葉の数々をお届けできることを約束しよう。
今年67歳を迎える男のしわは文句無しにカッコ良く、いい歳の重ね方の見本のような方だった。学生時代の昭和42年にジローズを結成して以来、もう46年も歌い続けたきたという。僕らの歩んできた人生とほぼ同年数を歌に捧げてきたことになる。そして70歳を目前にして、まだまだ歌の道を探求していることが強く感じられた。彼と同じような人生を歩んでいきたい。心底そう思ったのだった。
インタビューが終わり、誌面のメインを飾る写真撮影になった。ギターを弾きながらとのリクエストに対して、ポーズだけでなく「この方がいいでしょ」と弾き語りを始めてくれたのだ。曲はなんとボブ・ディランの『風に吹かれて』。『戦争を知らない子供たち』の話をたっぷりとうかがい、その本人が目の前でこのメッセージソングを歌うとは、なんという光景なのだろうとクラクラした僕だった。世界中の子供たちのために、戦争を無くさなければならないとのインタビュー中の言葉ともミックスされて、僕の心に深く突き刺さった。『戦争を知らない子供たち』を、ずっと歌い続けてきた生きる姿勢の美しさとも合わさって、涙がこぼれるのをおさえるのに懸命だった。それはどうやら杉田さんにバレてしまったようで、とんだ失態を演じてしまったことになる。ヤレヤレ、最近涙もろいのが仕事にまで支障をきたしているじゃないか。反省しながらも、素晴らしい話の数々に元気をいただいたのだった。乞うご期待の次号『ガツンとひと言。兄貴の説教』ですぞ。