毎度バカバカしく盛り上がっている読者の集い『浅草秘密基地』では、昨日は当然のごとく『あまちゃん』の話題になった。昭和40年男にとって、これほど直球ど真ん中ストレートなドラマがこれまでにあっただろうか。時代背景がドンピシャだったうえに、その描写を幾度も入れてくれることで強く感情移入した。タメ年役者たちの大活躍も痛快で、毎朝うれしい気分にさせてくれたのだった。ちょっぴり寂しさを感じてるのは、多くのファン同様の僕だ。
多くの職場で上半期締め日を迎えた昨日だから、忙しい男たちの集まりは少々悪かった。それでも8人の同世代の男たちが駆けつけてくれた。そのうち最終回を観た者じつに6人で、なんと視聴率75%を誇る。番組スタートから観ていた者は僕と編集部の足立の2人で、あとの4人は話題について行く格好で徐々にハマったようだ。そりゃそうだ、僕も観てないタメ年には勧めたもの。
涙をガンガン流したとの話になった。僕ら昭和40年男は「男とは人に涙を見せてはならぬ」との教育を受けたにもかかわらず、なんと涙もろくなったものかと一同頷く。とくに最終週ではみんな泣きまくったようだ。鈴鹿ひろ美が歌い始めたとき。合同結婚式後の夏の挨拶。最終話のトンネルではしゃぐアキとユイの姿。最後の最後に主題歌が流れた瞬間。その主題歌中でアキとユイが並んで走っているシーンなどなど、これら以外にも数々のシーンで6人は涙を流したと白状した。なにが「男とは人に涙を見せてはならぬ」である。朝っぱらからたかが15分のドラマにやられっぱなしだったのだ。それにしてもドラマ世代といっていいのか、この熱狂ぶりは若者たちは首を傾げるかもしれない。事実、昨日はある取材が入っていて、担当の20代の女の子には理解不能の男たちだったようだ。
それにしてもこれほど涙もろくなったのはいつ頃からだろう。40代に入ったあたりから加速して、ここ近年の症状ったらひどいとはこれまたみんな同様で、ほんの何げないことで涙がこぼれる。「この前、スポーツ新聞の記事で泣けてきちゃって」とか「ちょっといいCMもヤバいよね」とか、困ったものだと笑う昭和40年男たちだった。と、そんな話題の中から思い出したのは、例に漏れず「男とは人に涙を見せてはならぬ」が口癖の親父の涙を初めて見てしまった時のこと。一緒に『忠臣蔵』を観ていた中学生の頃のことだ。僕は33歳の時の子供だから、ちょうど今の僕くらいの歳だったはずだ。戦中育ちの親父でさえ40代後半には涙を見せていたのだから、僕が泣き虫になってしまったのは仕方ないと片付けたのだった。
ドラマ世代の我々だとの話から展開して、明日(今夜)は伝説のトレンディドラマ『抱きしめたい!』の復活板『抱きしめたい!Forever』ですなとみなさんに問うたところ、ほとんど興味無しの男たちだった。昭和63年のバブルまっただ中での恋愛を描き、若い女性たちが街から消えるほどの話題をかっさらった。そしてこの世界に憧れた女たちは、デートに求めるレベルを格段に引き上げた。だがどうやら、浅草に駆けつける男たちには、そんなトレンディな空気は肌に合わなかったようだ。さて、どのくらいの視聴率を取るのかが興味深い。当時強い憧れを抱いた女たちのパワーやいかに? って、トレンディな僕(笑)はもちろんビデオに収めて、後日楽しむことにしている。