先月の24、25日に行なわれた鈴鹿8時間耐久ロードレース、
通称“8耐”の取材裏を連続してお送りしている。
今日は東京へと向かってただひたすら移動である。
北海道みやげを楽しみに、みんな浅草で待っていてくれよー。
なるべく遅刻しないように激走しま〜す(スタッフたちが)。
還暦ライダー水谷勝さんについての話をしたい。
彼は3年前に、マシンのテスト中に首の骨を折るという大けがを負い、まさに生死をさまよった。
普通なら、今この世にはいるはずがないほどの大けがだったそうだ。
後遺症も心配されたが、持ち前の体力と懸命のリハビリで見事にこの日、サーキットに戻ってきた。
8耐という最高の舞台で、彼は自身の生命力の強さを我々に教えてくれているようだった。
くどいようだが、誰もが水谷勝は天国へと旅立ったと思わされたのにだ。
還暦ライダーだからと、赤いつなぎに赤いヘルメットで現れた。
そして12時半頃、セカンドセッションで彼は登場した。
走る姿をファインダー越しに追いながら、うれしくて仕方がなかった。
おっと涙は禁物、仕事仕事と言い聞かせてがんばったよ。
結局、合計で3セッションを走り、おそらく30周近くラップしたと思う。
見事なり還暦ライダー、水谷勝である。
俺はフラフラになりながら、いやあ午後1時頃はホントに倒れそうになり、
それでもなんとかゴールシーンまでこぎつけた。
8時間のカウントダウンは観客も一緒になっての大きな音の塊になる。
それはもちろんライダーたちに送られるものだが、俺も心地よく感じてしまうのは正直な気持ちだ。
終わった、今年も終わったよ。
注目していた鶴田さんのチームは15位で、去年2位だったこととエヴァンゲリオンとのコラボで
もっとも注目を集めたチームのひとつとしては、不本意な結果だった。
終了後のピットはまさに通夜のようにひっそりとしていて、とても声をかけられなかった。
一方の水谷さんは23位で入り、歓喜のピットとなった。
握手を求め「おめでとうございます。水谷さんをファインダー越しに狙っているのがうれしくて…」との言葉とともに、
我慢していた涙が滝のように流れてしまった。
俺の涙があまりに激しかったせいか「ありがとう」と言いながら、水谷さんももらってしまったらしく号泣し始めた。
昨日の“風の会”でボランティアを務めた高校生たちが、決勝日はそのままこのピットを手伝った。
皆、このゴールに感動の涙を流していたよ。
10代でこんな最高の夏の日を過ごせたのはすばらしいことだよ、
胸に刻んでくれよと思わずおっさんになって見守っているのだった。
つきなみな言葉だけど、今年も大きな感動をありがとう。
ライダーの皆さんほどではないけれど、俺も精一杯闘いました。
やがて恒例の花火が上がり、いまこの瞬間を共有している全員が、
それぞれにとってとびきりの夏の1ページを刻んだのだった。
長かったですね、お終い。
還暦ライダー水谷さんの走りだ。うれしさを感じながらシャッターを切ったよ。