なぜ僕は、コロッケのライブに行ったのか?

IMG_1008まさかまさか、ものまねのライブに行く日が来るとは、人生なんてのはわからないものだ。大田区の文化事業で、区民ホールを使って結構おもしろいものを仕込んでくれている。営利目的じゃないからチケットが安いのが魅力で、去年も大好きなチャイコフスキーのバイオリン協奏曲を、世界一美しい女性指揮者の西村智美さんがタクトを振った演奏を聴きにいった。西村さんの指揮による演奏を観に行ったのは2度目で、最初はサントリーホールで1万ナンボものチケット代を支払った。オケのレベルの差こそ若干(ネームバリューという意味で)あれ、半額以下で観られたのは大田区に感謝だった。新しいホールだから音質はよくて、シートも快適だ。こうした行政サービスはチェックして、ぜひ活用することをおススメする。

と、前置きが長くなったが、コロッケオンステージはどうだったかといえば、もうサイコーだった。行く前に連れと話していたのは、ホールだと顔の瞬間芸が見えなくてつらいんじゃないかとのこと。体を目一杯使った勝負にするのかなんて心配したけど、そんなの素人の杞憂ですな。あたり前にのように大型スクリーンが舞台の後にセットされていた。司会の絶妙なトークから始まって、2人組のダンサーが激しく盛り上げる。バックバンドは専属でずいぶんと長いこと務めているというソース(バンド名、もとろんコロッケだからね)で、イキもバッチリのカッチョイイステージになっている。ちなみにこのバンドのギターがスゴくよくて、うっとりするほど秀逸だった。テレビで見たことのある王道ネタはもちろん、変化球もたっぷり仕掛けてあり、さらにはちょっとシリアスな東日本の復興メッセージコーナーまであった。アンコールはサブちゃんネタ『祭』で締めるなど、誰もが楽しめる完璧なセットでまさにエンターテイメントだった。ロボット五木ひろしってライブで見ると本当にスゴくて、これだけでも体験してほしいほどだ。きっかり2時間のショーはあっという間に過ぎ、本当に圧巻のライブだった。

僕はなにを期待して出かけたのだろう。そんな自問をするライブなんて生まれて初めてだった。いや、本当はわかっていて、でもそれでいいのかなっていう遠慮(誰に?)があった。結果的には思ったとおりの成果を得て開場を後にすることができた。

僕が期待したのは、練り上げられた芸の域にあるかということだった。歌舞伎とかそういう伝統芸でなく、ましてや本人も言ってたので使うが所詮モノマネだ。でもその所詮の世界を、しっかりと追い込んでいる男の姿に期待してチケットを予約したのだった。そして本当に素晴らしい芸だった。新しいネタを常に追求している姿勢も感じられ、お客さんをこれでもかと喜ばせる次々と繰り出す工夫とか、もう、なにからなにまで行き届いたステージだった。デビューから33年の昭和35年男から、多くのことを学んだ。タメ年男はきっと泣くだろうな。

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