昭和40年生まれの作曲家・岩代太郎と美術監督・原田満生が、今秋注目の映画『許されざる者』の音楽と美術を担当した。
岩代は1989年に東京芸大音楽学部作曲科を首席で卒業し、同大学院での修了作品『世界のいちばん遠い土地へ』が朝日新聞・テレビ朝日主催の『シルクロード管弦楽団国際作曲コンクール』で最優秀賞を受賞する。以降、テレビや映画、アニメなど幅広いジャンルで作曲家として、また音楽プロデューサーやピアニストとしても活躍をしている。
一方、原田は、美術助手として阪本順治監督などの作品に多数参加したのち、映画『トカレフ』、『不夜城』などのセットデザイナーを経て、98年『傷だらけの天使/愚か者』で美術監督を務める。2000年『顔』、『ざわざわ下北沢』では、 第55回毎日映画コンクール美術賞、第20回藤本賞特別賞を受賞。 さらに05年『亡国のイージス』では、 第29回日本アカデミー賞・優秀美術賞を受賞。07年『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』では、第31回日本アカデミー賞・優秀美術賞を受賞するなど多数の映画美術監督を務める。近作には『座頭市 THE LAST』『まほろ駅前多田便利軒』『大鹿村騒動記』『深夜食堂 第二部』『テルマエ・ロマエ』『北のカナリアたち』『舟を編む』などがある。いずれも話題になった作品なので、劇場に足を運んだ人もいるのではないだろうか。これから上映される作品『人類資金』『テルマエ・ロマエⅡ』でも美術監督を務める。
その2人の昭和40年男がスタッフとして携わった映画『許されざる者』は、1992年にクリント・イーストウッド監督&主演で第65回米アカデミー作品賞、監督賞ほか4部門を受賞した西部劇を日本映画としてリメイクした作品だ。江戸幕府が崩壊した後の明治初期を舞台に、かつて“人斬り十兵衛”と恐れられながら刀を捨てた江戸幕府の剣士が、愛する者を守り、己の尊厳を取り戻すために再び闘いに身を投じて行く姿を描く。同作は、渡辺 謙が主演を務め、8月28日に開幕する第70回ベネチア国際映画祭特別招待作品に選出されている世界が注目する作品だ。そんな作品の音楽をつむいだ岩代、美術を担当した原田、2人の昭和40年男が作りだす映画の“背景”に注目しながら映画を楽しみたい。
このコーナーでは昭和40年生まれの活躍を紹介。どんな些細なことでも我こそは!という昭和40年男はぜひ『読者投稿欄』から投稿を!