昭和40年男にとってザバンドとは、知る人ぞ知るという存在かもしれないが、5人の音楽職人たちがシーンに与えた影響は大きい。好きなギターリストを挙げよと言われれば、ここのロビー・ロバートソンの名を出す。ボーカリストと問われれば、ピアノを弾きながら憂いのある声を絞り出すリチャード・マニュエルの名を挙げる。ベース&ボーカルのリック・ダンゴも、ドラム&ボーカルのリヴォン・ヘルムも本当に素晴らしいミュージシャンで、トップレベルの人たちの集合体だった。このなかにあって、もっとも音楽的にインテリだったとされるのがキーボードと渋いサックスも披露したガース・ハドソンで、この夏東京と大阪のビルボードでライブを行なう。フジロックにも出演するとのことだから、出かける方々はぜひチェックしてほしい。僕はビルボード東京に出かける予定で、この日が76歳を迎える誕生日だそうだ。
ザ・バンドは1976年に活動休止を宣言するイベントを開催してしまったから、昭和40年男にとって馴染みが薄いのだ。でも、ロック史を紐解けばあまりにもその存在は大きく、僕は後追いながら聞き出して虜になった。83年代に看板ギターリストのロビー・ロバートソン抜きで再結成を果たし来日公演もあった。この時は大興奮で迎え、今もオープニングの『ラグ・ママ・ラグ』が耳から離れない。その後も2度来日していて94年に出かけたから、今回は約20年ぶりにガースの姿と演奏を観に行くことになる。奥さんがボーカルということで、どんな演奏になるのか見当がつかないが、ザ・バンドの曲は披露するようなのでワクワクしながらその日を待っている。
86年にリチャードが逝き、99年にリックが、そして去年、ロビーとともにザ・バンドの中心的な存在のリヴォンも逝ってしまった。偉大なる職人集団の生き残りは、残念ながらもはや2人なのである。ザ・バンドの開散劇はロビーとリヴォンの不仲とされ、だから再結成後もロビーは参加しなかった。リヴォンが逝ってしまったことは悲しいが、今ならロビーとガースで再結成があってもいいのではないかと期待してしまう。そんな夢を描くためにも、このライブでガースの健在ぶりを確認したいものだ。
8月3日☆大阪、(気持ちの中で)『The Weight』ハモって盛り上がりましょう!