連載特集の『夢、あふれていた俺たちの時代。』は、今回昭和50年を切り取ってお送りしている。前号でブッチャーを表紙にして、プロレスネタを大きくフィーチャーしたところ大好評をいただき、昭和40年男がいかにプロレス好きだったのかと再確認させられた。そして今号で昭和50年を取り上げたことで、このものすごい対決の背景をお送りでき、きっと興奮しながら読んでいただけたのではないか。アントニオ猪木とビル・ロビンソンの世紀の一戦である。
学校で大きな話題になった一戦だった。今回、当時のポスターを掲載していて、僕自身これを見た瞬間脳の中でシナプスたちがまるで音を立てるかのごとく繋がり、記憶を鮮明に呼び起こした。人間風車とのキャッチコピーに恐怖を感じながら、その日を指折り待った。今回ばかりは猪木に勝機はないとの予想がクラスには蔓延していたのだった。そして、当日の休み時間は、興奮を抑えきれないジャイアンたちのコブラツイストや卍固めを決められる餌食が続出した。これも懐かしい想い出だ。余談ながら、僕が通っている小学校で、ある日4の字固め禁止令が発布されたことも、高いプロレス人気の象徴のような話だ。
今回の記事は、UWFインターナショナルで活躍したレスラー宮戸優光さんに話を聞き、プロレス関連の数多くの仕事で活躍している堀江ガンツの筆によって、大迫力の4ページとなった。小学生にはつかみきれていなかった、ジャイアント馬場率いる全日本プロレスとのかけひきなども詳細に紹介されていて、当時の僕に教えてやりたいほど。プロレス通の方々には周知のことなのかもしれないが、少なくとも僕の周囲の人間にはおおいに喜んでいただけた。
『昭和40年男』作っていていつも感じることの1つに、奇跡が起こる背景には必ずとんでもない熱がこもっているということ。アントニオ猪木が俺たちを多いに興奮にさせ、夢中にさせながら人気を獲得していったのは、込められた大きな熱があったことを知ることだろう。前号のタイガー・ジェット・シンのページと合わせて、強く感じることができた。自信ありのセットだから、持っていない方には2冊同時購入をおススメするぞ(笑)。