「もう1人、パンチのある女神を入れたい」
特集はずいぶんと固まってはきたが、もうひとつ強烈で“俺たちの”と呼べる女神様探しに苦労していた。桂木文様に登場願えれば完璧なのだが、残念ながらレコード会社でさえ居所が分からないそうだ。はまり込んで抜け出せない時のつらいこと。考えても考えても出てこないところに、フッと、それこそ女神様は舞い降りてきた。
「研ナオコさんだよ」
これだから雑誌作りはおもしろい。彼女が入ることであら不思議、それまでラインナップされていた方々とも化学反応を起こして、特集全体がグッと魅力的なものになるじゃないの。バラエティ番組では体を張ったギャグをぶちかまし、いつも笑いを提供してくれた。笑いだけじゃなく、懸命さやひたむきさといった、人間して学ぶべき部分までも研さんを通じて学んでいた僕らだ。
そしてなんと言っても、お笑いとの凄まじいギャップを感じさせる、悲しい女を演じる歌である。昨日のここで、阿木さんと中島みゆきさんの詞が、僕らに女心を教えてくれた双璧としたが、研さんの歌もまたしかりで、僕らの胸にしっとりと響き渡った。初の大ヒットとなった『愚図』は阿木さんの作品だし、僕にとってナンバーワンソングの『かもめはかもめ』とナンバー2ソングの『LA-LA-LA』はみゆきさんによる作品なのだ。
取材現場では、テレビで見たまんまの自然体で、本当にステキな方だった。それと、ものすごく高次元のバランス感覚の持ち主だと知った。テレビでもよく見た、研さんは毒をたくさん吐くのたが、それが聞いている側に刺さらない毒というか、おもしろい毒になってしまうのは天才的なバランス感覚によるものだったことを知った気がした。独特の間とか、トーンの使い分け、表情作りまですべてが絶妙なのだ。今回お会いできたことでそれに納得させられ、だからこそギャグから涙を誘う悲しい歌までも演じるスーパー女神なのだとますますファンになった。『カックラキン大放送!!』で、自由に泳ぐような演技を魅せていたが、あれは全部台本ありきだったそうで、これも彼女のバランス感覚あってのものだったのだ。それとベースに、常に相手を気遣う優しさがあるからで、取材の端々で我々にそれを感じさせた研さんだった。
僕ら昭和40年男にとっての女神大本命、研ナオコさんのロングインタビューは必見のページとなった。乞うご期待ですぞ。