吉野家と小諸そば。

〆切モードに入ると会社に泊まり込みが続き、食事はコンビニ弁当と牛丼、立ち食いそばのヘビーローテーションとなる。泊まり込んで迎えた朝は、吉野家の存在がありがたい。あたたかくて出来たてで、朝食としてはかなり満足度が高く(昼食だと物足りない)、280円を惜しみなく払える。

吉野家泊まり明けの一昨日金曜日のことだ。朝から近所がやかましく6時に起こされてしまった。1年ほど前に、睡眠時間は1.5時間の倍数がいいらしいとの情報を真に受けて実践している。前夜(朝?)27時就寝だったから、7時半まで寝ることにしていたのにヤレヤレと起き出してしばし作業を進めていると当然、お腹が鳴き出す。あまり早いと昼がつらいと7時まで我慢することにして、時計の知らせでヒャッホーと会社近所の吉野家に出かけた。するとあらら、ずいぶんお客さんがいる。しかもみなさんビシッとした方々ばかりで、ジーンズとサンダルでだらしないのは僕だけだ。まるで、エリート企業戦士たちの集いのような雰囲気で、みなさん背筋をピンと伸ばしてかっ込んでいる。どいつもこいつも仕事ができそうな男だけの空間になっていた。僕の通勤時間で考えると、この連中は6時に家を飛び出したことになる。想像するに残業禁止の大きな企業に務めていて、早く出てくるしか補う手が無いからこうしているんじゃないか。で、そんな早くに嫁に朝食作らせるのはどうかなとここに駆け込んでいる優しい連中なのだ…、きっと。ともかく、朝食をこんな早くから、しかも牛丼をかっ込めるのだからきっと仕事はできるはずだ(笑)。

その翌日の晩飯はそばにしようと、立ち食いそばチェーン店の小諸そばに出かけた。ありゃ、こっちも土曜日のオフィス街とは思えないほどの客が入っている。が、昨日の吉野家の客層とはまったく異なる。ビシッとしたヤツは1人もいない。全員が僕同様だらしない格好で、背中を丸めてそばをすすっている。夜の7時頃のことで、僕らのような仕事で延々と〆切業務をこなしている仲間のように思えてきた。昨日と真逆の人種に見えるが、きっと同じように仕事にがんばっているのだろう。疲れたみなさんを眺めながら、せめて背筋を伸ばそうなんて気にしなからそばをすすったのだった。

中島みゆきさんの『狼になりたい』が大好きなのは、夜明け間際の吉野家を舞台に展開される人間模様の描写によって、いろんなことが見えてくるからだ。で、この歌詞には季語のアロハが出てくるんで、夜明け間際というと午前4時頃ということになるのだろうか。とすると、みゆきさんによって表現された世界のたった約3時間後には、企業戦士たちが戦場へ向かうためのチャージをする場所へと変わるということ。うーむ、吉野家恐るべし。

さてここでお知らせです。毎週月曜日のお楽しみ『浅草秘密基地』ですが、明日は〆切作業で残念ながら中止とさせていただきます。楽しみにしていた3万人の皆様にお詫び申し上げます。

開催以来3年以上続けてきて、震災による1回と〆切によるこれで2回めの中止ですが、普段は祭日、年末年始以外は必ず開催しています。

来週は前日の福岡のイベントから直行することになるので、このお詫びにお土産を持参します。乞うご期待!!

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で