毎度バカバカしく盛り上がっている、毎週月曜日の恒例『浅草秘密基地』に、つい最近初参加してくれ、それ以来3週連続の常連となった大川さんが自慢のコレクションを持ってきたくれた。写真に写っているコイツは、知る人ぞ知るクイーンのギターリスト、ブライアン・メイのレッドスペシャルと呼ばれるギターの復元モデルである。大川さんによるとコイツは、ビルダーによって1本1本ハンドメイドされたもので、60万円ほどで手に入れ現在ではプレミアがついて取引されているとのことだ。
ブライアン・メイを語る上で欠かせないこのギターは、ブライアンと父親によって制作された。100年以上前に暖炉として使っていた木を用い、5年以上の時間をかけて完成させたとのこと。アルバムのライナーやギターの教則本なんかにもチョクチョク書かれていて、大人になったら僕も作ろうなんて夢描いたのは中学時代のいい想い出だ。そんな器用な手先を生涯持つことはなく今に至ったとさ。
クイーン好きの昭和40年男は多いだろう。僕もそうで、洋楽に夢中にさせた最初のミュージシャンがクイーンだ。ブライアンのようなギターリストになりたいと、ギターを手に入れた。そしてやがて、ロックやブルースの本質を探る旅に出てそのまま人生を浪費して、今のような悪い大人になってしまった(笑)。その原因となった最初の一歩が、このギターであると思うとなんとも感慨深く、コピーモデルとはいえ初めて手にしたブライアンモデルに大いにときめいた。中学時代に夢中になって練習した『ボヘミアン・ラプソディ』も『イッツ・レイト』も完全に忘れてしまっていて、せっかくブライアンモデルを手にしながらストーンズやブルースを弾くというしょうもないヤツだったが、心は中学時代にかっとんでしばらく夢中で弾かせてもらった。
大川さんはこのギターにたっぷりと愛を注いでいて、加えて客観的な評価も高いという、まさに宝物だ。よくよく考えてみると僕のコレクションは、個人的な思い入れこそ大きいがガラクタばかり。いい大人なんだから宝物の1つや2つ欲しいものだと、このギターを眺めているとそう思わされた。ならばどんな宝物を手に入れる? 思いつくのがガラクタばかりなのは、貧乏性ゆえの悲しい性なのだろうか。ひとまず、今度休みが取れたら楽器街に出かけてみることにしよう。