クイーンをこよなく愛する男と過ごした浅草の夜。

昨日は毎週恒例の『浅草秘密基地』だった。いつものとおり、ひとりまたひとりと参加者が入ってくる。そこに「おーっ、久しぶり」と現れたのは、高校2年生時のバンドメンバーだった。「変わんねーなー」と昭和57年にフラッシュバックした我々だ。センスのいいキーボディストだったが、高校3年に進級すると大学受験のために脱退したのだった。その送別会以来の乾杯となった。偶然が偶然を呼んで、ついに夕べは再会が実現して昔話に花が咲きまくった。こうした再会の楽しさと喜びは、人生を重ねたことのご褒美だな。

そしてもうひとり、外から店をのぞき込み恥ずかしそうに入ってきたのは、見た目は30代でも通るんじゃないかとのタメ年男の大川さんだ。vol.16で『昭和40年男』と出会ったとのこと。音楽好きでクイーンをこよなく愛し、その深さゆえかなんとのギタリスト、ブライアン・メイのギター(自作のオリジナル)のコピーモデル(目玉飛び出る価格)を持つほどのクイーンジャンキーなのだ。

世界に捧ぐ クイーンクイーンとの出会いは小5で、これはお姉さんの影響だとのこと。これだよっ。いつもうらやましいなと思う、上の兄弟がいるタメ年たちだ。お下がりばかりだったとの言い分はあるだろうが、長男で育った僕は憧れてしまう。とくにお姉さんがいる男たちの、さりげなく女性の扱いがうまい感じが、がさつな僕にはないセンスをいつも感じさせられる。それと昭和50年頃から少しずつ洋楽ブームが起き始め、その情報源として上の兄弟の存在はデカイ。自然と洋楽との出会いが早くなり、音楽的なセンスが研ぎすまされている者が多いのだ。中学に入ってから洋楽に触れるのと、小学生のそれも早い段階で触れればその分だけ開きは大きくなる。現在はそんなことはないが、当時は洋楽の方が様々な意味でレベルの高いものが多く提供されていた。それらを聴き込んで育つのはやはり大きい。僕が鼻水垂らしてビンク・レディーで盛り上がっていた頃に、大川さんは『WE WILL ROCK YOU』や『伝説のチャンピオン』に唸っていたのだから、ねっ、その差は大きいでしょ。

そんな彼とのクイーン談義は大いに盛り上がった。ベストナンバーはなんだという質問をしたところ選べないとのことで、だったらアルバムだったらとなると渋々『世界に捧ぐ』をあげた。日本では昭和52年の11月発売だから、ちょうど小5のころにリアルタイムで触れたのだろうから、やはりうらやましい。一致したのは、その次の『ジャズ』、せいぜい『ザ・ゲーム』までが僕らにとってのクイーンだったよねとの、昭和40年男特有のワガママなクイーン感でコンセンサスを得たのだった。

ギターのブライアン・メイは、コインをピック代わりにしてギターを弾くこともよく知られている。僕もトライしたことがあるがまったくダメだった。大川さんはここまでもこだわり「コインが一番弾きやすい」と、普段使っているコインを見せてくれた。今度『浅草秘密基地』に来る時は、自慢のブライアンモデルを持参してくれるとのことで、そのプレイを目の前で見られる日が楽しみである。

…と、こんなゆるい集いですが、どうぞ皆さん、気軽にお越しくださいね。

浅草秘密基地

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