第13話 焼き豚屋での初取材。(3)

それでは仕事も片付いたし(ホントか?)と、2軒目に繰り出した。

奴の音楽コレクションの置き場所になっているという
行きつけのショットバーで、DJブースまである音にこだわった店だ。
ラッキーなことに我々以外客がいないため、
バーテンダーはDJと化し
ふたりの会話に出た曲や時代を考慮した曲をバシバシかけてくれる。
「こう来たか」とDJ、いやマスターの選曲にやられながら、
あの時代へと戻っていく。

互いに音楽だけに没頭したあの頃を振り返り、
ばか笑いを繰り返す。
そして互いの現在も語り合い、
やがて日々の苦しさまでをもさらけ出し合う。
15歳から18歳という、
もっとも心が成長する時期に共に過ごした仲間というのは、
今さらながらかけがいのないものなんだな。
昭和40年男の2人は次々にグラスを空にしていく。

こうして過ごす楽しい時間そのままの本が創れたら、
きっと支持されるだろうな。
振り返るだけでなく、
今日と明日を見つめることがすごく重要だね。
そう考えながら26時を過ぎたところでお開きにした。

「じゃあ、28日の取材はよろしくおねがいします」

「ええ、こちらこそ。おやすみなさい」

「おやすみなさい」

なぜだか最後はキチンとした言葉を交わす2人の翌朝は、
互いに相当つらいものになったのであった。

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