そば vs うどん。魚 vs 肉。醤油ラーメン vs 味噌ラーメン。

この3番勝負を見てどう思う? ピンと来た昭和40年男は多いのではないだろうか? 加齢によって勝敗が変わった対決でこれ以外にもたくさんあるが、特にこの3つはわかりやすくシフトした。若いころはすべて後者で、年齢とともに前者が勝者となっている。

ボソボソしているそばよりも、白くてツルツルのうどんが圧倒的に好きだった子供の頃。当時は双方とも、今のようにコシで勝負するような食い物ではなく、爺さん婆さんでも安心の麺がそばとうどんだった。本場の地域ではそんなことないだろうが、東京の街にあるそば屋は、今みたいな麺へのこだわりがある店はほとんどなく、ラーメンや定食も置いちゃっているような、いわゆる食堂だったところがほとんどだった。それでも外で食ったり出前を取るのはごちそう気分を盛り上げ、うれしくいただいたものだ。チョイッとそれるが、今だにそんな何でも置いているそば屋で、コシの無いかけそばをすするのが好き更科布屋なのは、当時の想い出によるものだろう。今風に言わせればうまくないそばも、僕にとっては立派なそばでありご馳走なのだ。いつの頃からか、うどんから完全に心が離れてしまい、そばの魅力に取りつかれていき、立ち食いでもコンビニのそばさえも好んで食べるようになった。親父がうどんを口にしなかったことから、大人の階段を上ろうとしたのも手伝ったのかもしれない。写真は江戸庶民の名店で会社そばの更科布屋さんで、チョクチョクそばをすすっている。

魚から肉へのシフトは我ながら衝撃で、そば好きにシフトしてからしばらくの年月を経てからの変化だった。もちろん今も肉はおいしくいただく。ただ、天然の近海本マグロの赤身と松坂のヒレステーキのどっちをと言われたら、ある頃を境に極上本マグロを選択する自分に変化したのだった。さらに続いて、ニンニクと唐辛子がバッチリと効いて、野菜と肉がどっちゃりとのった味噌ラーメンは、小学生の頃よりの永遠の好物だと思っていた。だがやはり、これはわりと最近の変化だがシンプルな醤油ラーメンの方を好んで食べるようになってしまった。

そんな、食の爺さん化 (と、僕は呼んでいる) は、そばに始まり味噌ラーメンに至るまで、約30年の長い時間がかかった。よく聞かれる、油物に弱くなった気はまったくしない。むしろ大好きなままで、カツ丼だってオリーブオイルバッチリのパスタだってガツガツいく。カレーにいたっては週に3回は必ずクリアして、かにクリームコロッケだってのせる。驚くほどの油好きでありながら、そこに加えてシンプルな味への嗜好も強くなり、逆転してしまったのだろう。

これの反比例なのか? 最近、派手な色やスケベな花柄シャツとかジャケットに目がいくようになったのはどのような変化だろう。原色なんて着るヤツの気が知れねーと、ずいぶんと長いこと思っていた。ところが40歳くらいからだろうか、少しずつ派手な色に目を奪われるようになった。ミック・ジャガーがライブで着ていた、シルクっぽい黄色のシャツを本気で欲しがったりする。ちょっと前に買った真っ青のシャツはお気に入りだし、先日は真っ赤なシャツに手を伸ばし、危うく購入するところだったが脅威の値札で正気に戻ったのだった。皆さんは、いかがなんでしょうか?

どんな爺さんになっていくのだろう。白のパンツに真っ赤なシャツを着てそば屋や寿司屋に入り、そばつゆやら醤油をパンツにこぼしてカッチョ悪いヤツが頭をよぎるのだが、これはなんとしても避けたいところだ。
 

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

1件のコメント

  1. 全く同感です。やっぱり皆そうなっちゃうんでしょうか?カレーライス、揚げ物が大好物なのに数十分後に襲われる胃もたれそして後悔の念・・・最近エビオス錠を飲み始めたのですが胃もたれはかなり良くなりました。(あくまでも個人的な感想です)

コメントは受け付けていません。