昨日書いたRCサクセションの『RHAPSODY』の続きというわけじゃないのだが、5月が近づいて初夏を感じる昼間はライブアルバムを好んで聴く変な習慣がある。なぜかこの時期の真っ昼間に聴きたくなるのだ。とはいえ、昼間に家にいられることはほとんどなく少ないチャンスだから、ほぼ決まったライブアルバムをこの時期に聴いていることになる。もちろんライブならなんでもいいわけじゃなく、僕がチャンスを得たときに聴くことにしている、定番3枚をご紹介しよう。
まず候補に挙がるのが、桑田さん扮する嘉門雄三というシンガーが率いるバンド、VICTOR WHEELSとの渋谷のライブハウスでの模様を収録したアルバム『KAMON YUZO & VICTOR WHEELS LIVE!』だ。真冬のレコーディングでありながら、しかもブルースの臭いがする曲を多く収録しているのにも関わらず初夏に聴きたくなるのは、やっぱり桑田さんて海の人だからなんだろうな。これはCD化されていないようで、現在手に入らない貴重なものになっているらしいけど、昭和57年発売だから持っている昭和40年男は多いのではないかな。僕も当時購入したアナログ盤を大事に持っていて、チャンス到来の昼間にはまずコイツがターンテーブルに乗ることになる。
続いてはロッド・スチュワートの、いい意味でグチャグチャのライブ盤でフェイセズ時代の『ロッド・スチュワート & フェイセズ / ライヴ』。これもまったく初夏との関連性は見つからないものの、なぜかその気にさせてくれる。桑田さんの海の香りとは違うけど、ロッドの華やかさがなんとなくマッチするようだ。グチャグチャとはしたが、これぞロックンロールといったグルーブは最高に楽しく、ドラムのとくにスネアがものすごくいいビートをたたき出していて、うねりのあるベースと不思議な土台を作っている。そこにコロンコロンと転がるピアノがいい色を出していて、さらにロン・ウッドのルーズなリズムも不思議に相性がよく、これほどのグチャグチャなグルーブはまずお目にかかれない。コイツはCDにもなっているのだが、ここぞって時はやはりアナログ盤をかける。
そしてもう1枚が、J・ガイルズバンドの『狼からの一撃!』だ。昭和40年男にとっては『堕ちた天使』の大ヒットで知られる彼らだが、この大ヒットを記録する前にはこのアルバムのような、超辛口の骨っぽいロックンロールバンドだった。曲からビート、サウンドのシンプルさなどすべてにおいて“締まった”との言葉がしっくりくる。そしてその真骨頂といえるのがライブ演奏であり、このアルバムは彼らのライブ盤の中でももっともクレイジーな演奏となっているのだ。ボーカルのピーター・ウルフのマシンガンのような歌いっぷりが爽やかかといえばそんなことはないのだが、フェィセズとは真逆のしっかりとまとまった小気味よさが、きっと初夏を盛り上げてくれるのだろう。
ゴールデンウィークに家でのんびりしながら、真っ昼間からビールを呑んじゃったりできるタメ年男たちに、自身を持っておススメしたい。きっと最高のロックタイムを満喫できるはずだ。よくよく考えると、昼間のビールがしっくりくる3枚ということが大きいのかもしれない。