2007年の鉄道博物館オープンを契機に“鉄”の聖地として脚光を浴びているさいたま市大宮にこのほど、新たな名所が誕生した。鉄道模型のトップメーカー・トミーテックが運営する初の常設ショールーム・TOMIXワールドだ。そのニュースについては、本サイトでも既報のとおりだが、オープン初日に行なわれたメディア向け内覧会に行ってきたのでその様子をお伝えしよう。
TOMIXといえば、鉄道好きの昭和40年男たちには今さら釈迦に説法だが、プラレールなど鉄道おもちゃを長年手がけてきたトミー(現タカラトミー)が1976年に鉄道模型の本格ブランドとして立ち上げ、以来、KATOとともにNゲージを中心とした日本の鉄道模型趣味をリードしてきた象徴的存在だ。現在では日本全国の鉄路で活躍するあらゆる鉄道車両をモデル化し、模型ファンのみならず鉄道ファン全般から常に注目を浴びている(その足跡については弊誌2012年6月号にて詳しく紹介している)。
そのTOMIXが誇る車両やレール、ジオラマ用のバラエティに飛んだアクセサリーなどあらゆる商品を直に見られるのがTOMIXワールドだ。考えてみればこれほどの大手メーカーが、今まで常設展示施設を持っていなかったのが不思議なくらいだが、その意味でもファン待望のスポット誕生といっていい。
昭和の郷愁を漂わせる古風な改札風入場口を通って館内に入ると、正面にTOMIXの最新商品が展示されたコンセプトゾーンがお出迎え。我々も小さい頃遊んだプラレールなども置かれている。その右側にはTOMIXの車両走行システムなどを紹介したテーマ展示のコーナーが。その一角には、我々子供のまま大きくなってしまった大人たちのための夢の空間をイメージした、生活の中の鉄道模型の提案コーナーも。
さらにその向こうの壁面にはTOMIXの現行カタログに掲載されている車両を可能な限り陳列。「昭和」「平成」、特急列車、通勤電車、私鉄と、系列立てて並べられている。こういうフル編成を見ているだけで、鉄道ファンはお腹いっぱいになれるのだ。ちなみにショールーム内全体に展示されている車両は全部でゆうに3,000両を超えるとか。
一方、正面左窓側には、4.5m×1.2mの大型レイアウトが鎮座。きれいに組まれたジオラマはほぼすべてTOMIX製品によって構成されている。もちろん誰でも運転体験ができる他、走行している車両に積まれた小型カメラで撮影された迫力のライブ映像を上部の大型モニターで楽しめる。
そしてショールーム奥には、昔懐かしい(といっても昭和40男でも知らない?)修学旅行専用車両の塗装をイメージした朱色と黄色のツートンカラーが鮮やかな多目的ルームも設置される。休憩スペースにもなっている他、今後、模型教室など様々なイベントに使われる予定だとか。
もちろん、館内には広々した物販コーナーも設置。地元の店では手に入りにくいパーツや車両もここに来ればなんとかなるかも。また模型関係だけでなく、トミーテックから発売されている人気キャラクターシリーズ「鉄道むすめ」関連グッズなども充実している。
そしてそして、メーカー直結ならではなのが、模型の修理を請け負うサービスコーナーの存在だ。個々に持ち込めば、大概の故障は直してくれるそうだ。我が家に眠っている往年のモデルもここでなんとかしてくれるだろうか。修理中の様子を横の窓から見物できるのも、模型好きのファンにはうれしい。
そんな、鉄道ファンたちの気持ちを知り尽くしたトップメーカーならではの施設、まもなく始まる大型連休、家族連れで“鉄博”見物を予定している方々はぜひ寄り道してみることをおすすめする。
<編集部・足立謙二>
特撮とSFと鉄道を愛する自称昭和キュレーター。1年のギャップと闘う昭和41年男。
大阪でもこのようなメーカー直結の巨大なブースが出来ないものか・・・
梅田貨物跡地のグランフロント大阪にできたら最高だったんだけどなぁ。
ライバルメーカー同士の競合店舗が同時に出来れば、模型ファンとしては最高なスペースなのですけどね。
梅田界隈には多くの模型店がありますけど、街の模型屋さんでは出来ない規模の鉄道模型の世界を是非とも実現してもらいたいです。