大編集後記。夏特集を振り返る(2)

昨日から続きでお送りしている、第3号の編集後記である。
夏の想い出セクションに入れたかった「甦る新島伝説」はボツとなったが、
逆に思った以上にうまくいって増ページしたり、
軌道修正を余儀なくされたりと、制作現場は大騒ぎの連続となった。

今回の特集を締めくくった2人の証言は、
当初ひとりあたり2〜3ページで3〜4人から話を聞こうと予定していた。
それが、取材にあたった武田、金子ともにうまくいったようで、
取材から帰ってきた2人は口をそろえて「4ページは欲しい」と俺を困らせてくれた。
もちろんこれは贅沢な悩みであり、うれしい悲鳴である。
ということでロングインタビュー2本となり、これは連載企画にしようかとも今考えている。

俺たちは敗戦から20年を経てこの世に生まれてきた。
すでに戦後の傷跡からは立ち直って、バラ色の幼少時代を過ごし
現在まで何不自由のない暮らしを享受してきた。
大変な思いや苦しみを抱えている男は多いが、
ベースとしては平和で活気のあるすばらしい時代を生きてきたのだ。
その俺たちが戦争について語ろうとしたところで、
なにかしらの違和感は生じてしまうかもしれない。
どんなに勉強したところで、その材料自体に湾曲した力が加わっていることが多々ある。
今回担当した2人だって異なる考え方を持ち、
じっくり話し込んだら俺ともズレが生じることだろう。
そんなデリケートで難しい問題だからこそ、逃げないで踏ん張っていこうと思う。
今、証人たちの声を受け継いでいかなければ、
あの悲惨な出来事が風化していってしまうのだから。

先日テレビで誰かが言っていた。
沖縄に日本がアメリカと戦ったという事実を知らない学生も多いのだと。
いかん。
俺たちは時代のブリッジ役となって次世代に伝えていかなくはならない。
今回の企画のおかげでその思いを強くできたのだ。
だから、こういったこういった軌道修正は大変ありがたい。

チャリンコチャレンジ企画の軌道修正も激しいものとなった。
夏、北海道のさわやかな風、青空、地平線…
と観光協会がつくったすばらしいイメージフィルムのようなページをつくろうと出かけた。
颯爽と走るおれがそのプレゼンテーターだ。
が、ご覧の通り夏の提案とはいいがたい、苦行のページとなってしまった。
さてさて、これをどう料理するかと悩んだ結果、
いまみなさんが手にしたような内容になっているということだ。
お見苦しいページではあるが、逆に勇気を得られるのではないだろうか?
あーあ、バカだねえと。
本誌にはさり気なく書いたけどね、想像してくださいよ。
早朝のビジネスホテルで、股にワセリンを塗っているタメ年男の姿を。
ガラガラとまるで音を立てているかのように崩れ落ちていく“男の尊厳”。
あー、お母さんゴメンなさい。
今度生まれてくるときはまっとうな人生を歩みますってね。

現場は予定通りにうまく進むことなんかないのである。
(不定期でつづく)

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で