『ゲゲゲの女房』『てっぱん』以来で、久しぶりにNHK朝の連ドラ『あまちゃん』につき合っている。ものすごくテンポがよくて、秀逸なテーマ曲のまんまのようなリズミカルに仕上がっていて、朝らしい作品だ。さすが宮藤官九郎さんの脚本である。
ヒロインの親世代がほぼ僕らとほぼ同世代の設定でフィット感があるのも、ハマっている理由だろう。先日の『浅草秘密基地』でも視聴者が多く話題にのぼった。出ている俳優もタメ年が多く、ヒロインの父母役がともにタメ年で、尾美としのりさんと小泉今日子さん(早生まれの同学年タメ年)が演じていて、小泉今日子さんの演技がドラマをずいぶんと盛り上げている。
そして本誌にも登場してくれたことがある、やはりタメ年の杉本哲太さんが最高におもしろく、ほぼ毎回ドカンと笑わせてくれるのだ。ここまでで最高のシーンだったのは、見ていた方だったら頷いてもらえるだろう『ゴーストバスターズ』をカラオケでリクエストしたところ。残念なことにこのドラマ史に永遠と残るだろう名シーンを見逃した方のために、カンタンに解説させてもらおう。
哲太さん演じる大吉と小泉今日子さん演じる春子は、東北の小さな街の同級生という設定で「あの頃の春ちゃん(小泉今日子さん)が大好きだ」と、あの頃である昭和59年がフラッシュバックされる。その時代の景色の真ん中にいつも春ちゃんがいたと続け「そんな想い出の曲です。聴いてけろっ」とかかった曲が、なんとまさかの『ゴーストバスターズ』だったのだ。意外でありながら、これ以上の選曲はない。宮藤官九郎さんさすがと大爆笑しながら唸ってしまった。しかも哲太さんは「ゴーストバスターズ」以外はさっぱり歌えないという、最高のシーンが続いたのだった。『世情』が流れる中で加藤勝が連行されるシーンの対極となる、また、佐藤浩市さんが演じるデラ富樫が西田敏行さんにナイフをなめながら自己紹介するシーン(映画ではあるが)を彷彿とさせる名シーンだった。ちょっとおおげさかもしれないが、インタビューしたこともあるタメ年俳優さんがこれだけイキイキと演じているのはうれしくなってくる。
まだドラマは始まったばかりで、こちらをチェックすれば十分ついていけるはずだから、タメ年男たちには強くおススメする。ドラマに精通する編集部足立も大絶賛であるから、おそらく間違いないだろう。タメ年俳優たちがイキイキと活躍するドタバタ劇に触れれば、きっと1日の仕事の活力になるはずだ。