朝刊に出ていた記事に、朝っぱらから気分を悪くさせられた。なんともバカげた話で、消費税還元セールの禁止を閣議決定しようというもので、それにイオンやユニクロが噛み付いたとの記事だった。政府の連中ってのは、ここまでビジネスシーンとかけ離れているのかと本当に腹が立った。ビジネスシーンは、来年春に迫った「8」という数字と、その後に控えた「10」という数字に対して、どう対策しようかと頭を痛めているまっただ中だ。どんな吸収の仕方をするのかは、ビジネスサイドが決めることである。そもそも、メーカーでさえ小売価格に口を出せないのに、なんで政府が守ろうとするのだ。業者を守ろうとする姿勢はわかるが、それだったら他のやり方があるだろうに、上から押さえつけるように小売りの現場だけを規制するってのは独禁法違反に近いじゃないか。柳井さんの「それで先進国かな」というコメントがまさにピッタリと当てはまる。
僕ら雑誌業界は、再販売価格維持制度(カンタンに言えば、定価を守ってもらえる商品)によって守られている。だから定価そのものが、社会での相対的な価値によって左右されやすい。原価や開発費、宣伝費から緻密にはじき出すというよりは、出来上がった本の価値がどのくらいなら受け入れられるかとの、悪く言えばどんぶり勘定がまかり通ってしまう場合が多い。『昭和40年男』は、書店で競合するだろう男性誌の棚の中でそれほど高く感じないはずだと決めた定価だ。ランチの価格やコンビニ弁当、牛丼の価格を意識したりもする。吉野屋の並が280円に下がることは、相対的に僕らの雑誌は高く感じられることになるなんて気にしたりするのだ。多くの昭和40年男にとって、2ヶ月に1回払う680円は大金である。それを重々知りながらの値付けで、だから少しでも価値のあるものにしようと努力しなければならないと、自らのケツを叩く。
当初の設定こそどんぶりかもしれないが、3年以上回しているとそこから計算が成り立つようになる。利益は様々なカタチで雑誌のエネルギーになっていき、より高いところを目指すために使われる。そこに今回の消費税増税は、原価にそのまま乗っかってくることになるから大変だ。印刷所は涼しい顔で値上げに踏み切ることだろう。だがそれを小売価格に転化していいものなのか? 本当に頭が痛い。
『昭和40年男』の裏表紙を見ていただければ一目瞭然で、本体648円とある。これがどんぶり勘定の正体である。読者さんに680円で届けるために、逆算で本体価格が決まっているのだ。ちなみに8%に上がると699.84円だからおそらく700円で、10%では712.8円で720円となることだろう。なんだかちょっとだけ便乗値上げになってしまうことも、躊躇させる材料になる。あと1年、悩み抜くのだから、どうか政府は邪魔しないでほしい。口を出すなら、旦那のお小遣いは消費増税分をキチンと添加してあげましょうと、世の奥様方に指示するなんてのはどうだ、ハハハ。
ブラック企業ユニクロ擁護がまじきもいわw