一時サッカーにその座を奪われるかと思わされ、悲哀まで感じさせたことがある野球だがどっこいしぶとい。今日行なわれた高校野球春の選抜大会の決勝戦には、多くの高校野球ファンが甲子園へと詰めかけた。平日の昼間だというのに何万人も集める集客力は、興行として考えてもたいしたもので、野球人気の高さがベースにあるのは言うまでもない。
春の到来とともに、野球にまつわるニュースが溢れている。長嶋さんと松井選手に国民栄誉賞送られるとの発表は、号外が出る大きな出来事だった。WBCも大きな盛り上がりを見せたし、日本ハムに入団したルーキー大谷選手の投手と打者の二刀流にも注目が集まる。海の向こうでは阪神から移籍した、日本を代表する守護神の藤川投手が昨日の開幕戦で早速セーブをあげ、今日はダルビッシュ投手が9回2死まで完全試合という快投を披露したそうだ。
昭和40年男といえば野球世代といっていいだろう。地域差はあるようだが相当の率でみんなが夢中になった。僕も例外でなく、休み時間も放課後も、野球が占める時間が圧倒的に多かった。体育の授業でもソフトボールがもっとも盛り上がりを見せ、野球チームに所属する者が多数いた。野球が高い人気を誇ったのはプロ選手への憧れであり、今回遅すぎる受賞となった長嶋さんは最大の功労者だ。そしてもう1つは、梶原一騎先生の原作による『巨人の星』や『侍ジャイアンツ』を代表にした、野球マンガだろう。昭和40年男だったらもっともハマったのは『ドカベン』かな。『プレイボール』や『キャプテン』も燃えたし、『アストロ球団』『野球狂の詩』なんて大人の香りがするものまで、秀逸なコンテンツであふれていたのだから夢見るのも頷ける。一時サッカー人口が飛躍的に増えたのは翼くんの影響らしいから、マンガはスポーツ人口を増やすのに大きな効果がある。国家予算をつぎ込んでもいいかもしれないな。
それにしてもアッチッチなスポ根作品が並ぶ。楽しくプレーするなんて概念は無く、苦しみ抜いて努力した末に栄光があるのだと刷り込まれている。それが昭和40年男のベースにあり、象徴的なのが再放送で繰り返し毎日のように見た『巨人の星』のテーマソングにあった「血の汗流せ」だろう。今だったらこの言葉そのものが体罰と位置づけられそうだ。僕ら世代の直後には、翼くんによって「ボールは友達」が浸透するのだから、時代の流れを感じるじゃないか。
とはいえ、今日頂上対決となった高校球児たちはきっと血の汗を流したに違いない。松井選手の星稜高校時代の監督が「彼は努力の天才」だと評していた。一線で活躍する者の背景にあるのは変わらないのだ。ただ、その努力のさせ方がずいぶんと変わっただけで、今と昔のどっちがいいか悪いかなんて判断できないが、僕はトコトンのスポ根精神で鍛えてくれた指導者たちに今も感謝している。そして、そんなマンガがあふれていた時代にも幸せを感じている。
済美高校の安楽君もいい投手やったけど、同じ四国の土佐丸高校:犬飼小次郎が本気で投げた球はホンマ!速かったよねぇ~
おーっ、記憶がよみがえりましたよ。スゴイ迫力でしたよね。犬飼小次郎を出すあたりはさすが永ちゃんですな(笑)。