【S40News!】歩道を自律走行する一人乗りロボット。

ロピッツ

ロピッツ日立製作所は、歩道を自律走行する一人乗りロボット『ROPITS(ロピッツ)』を開発し、話題を集めている。

『ROPITS』は、本体約1.5×0.7×1.6(m)、重さ約200kg、最大速度約6kmで走行するロボットだ。名称の『ROPITS』は、Robot for Personal Intelligent Transportation(個人用インテリジェント輸送機関)の略称だ。一人乗り自動車や電動カートなどすでにある一人用乗り物とは異なり、ロボットと呼ばれるのにはもちろん理由がある。『ROPITS』は、 “任意地点自律送迎機能”を備えた一人乗りの移動支援ロボットなのだ。注目されている任意地点自律送迎機能とは、携帯などの情報端末で、地図上の任意地点を指定すればその地点まで自律走行を行なえるというもの。この機能を使うことによって、『ROPITS』だけである地点まで搭乗者を迎えに行ったり、人を載せて目的地まで連れていくことができるのだ。

同社はこの自律走行技術を実用レベルに高めるため、2011年から茨城県つくば市のモビリティロボット実験特区に参画し、走行実験を繰り返してきた。実用化に際して一番の問題は、地図の精確な把握だった。今までロボットの移動に必要な環境形状地図は、GPSやレーザ距離センサー、角度や角速度を計画するジャイロセンサーなどを搭載したロボットを走行させ、それによって緯度や経度、周囲の物体との距離などの情報を得て作成されていた。だが、これでは標高に関する情報誤差が大きく、位置の推定はできても活用するには難しい。そこで今回日立は、標高情報を国土地理院の電子地図などから取得。そしてそれらを、個別に取得した緯度、経度、標高情報と同じ座標系に融合して、3次元環境形状地図を作成することにした。その結果、『ROPITS』は座標を正確に認識することができるようになったのだという。

また、搭載障害物を回避する技術も開発した。『ROPITS』にレーザ距離センサーとステレオカメラを搭載し、それによって歩行者や路面の凹凸を見逃さず捉えるしくみを作った。広い場所では速度を保ちながら障害物から離れ、狭い場所では減速して障害物の近くを走り、また。歩行者が接近すると自動停止するようにもなっている。

もちろん乗り物自体の安全性を高めるべく、車体の安定性にも配慮。衝撃を吸収するサスペンション、車輪の上下位置を自由に制御装置などによって、うねりや凹凸のある歩道でもバランスを崩さず走ることができるようになっている。

『ROPITS』開発の根底には、“人間と共存できるロボットの活躍への期待”がある。高齢化社会に向けて、介護などの観点からも現実的な問題解決の一助となる可能性を秘めた『ROPITS』。漫画やアニメの世界を通して寄せて来た昭和40年男世代には、ロボットに寄せた夢がまた一歩近づいてきた気がする。5月22日(〜25日まで、つくば特区内では発表会などが予定されており、さらなる詳細が明らかになる。

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