世界の絵本作家たちによる巡回展『手から手へ』が、3月1日(金)から初めて日本でも開催される。
作品はみな、“3.11後の世界から私たちの未来を考える“というテーマのもと、世界7ヶ国の絵本作家110人が描いたもので、降矢奈々と彼女の夫、ペテル・ウフナール、2人の絵本作家の想いから始まった。
降矢はチェコスロバキアの大学で石版画を学んだ後、スロバキアに住みながら日本でも作家活動を続けてきた。オオカミとキツネの友情を描いた、累計180万部にもなる人気シリーズ『おれたち、ともだち!』などで知られている。3.11の震災の後、2人は「生きることで精一杯の人たちにとって、アートなど役立たずでしかないのだろうか。アートに何か手助けはできないのか」と展覧会を考え、他の日本人作家たちと共に世界中の絵本作家から作品を募ったという。その声に、日本はもとよりスロヴァキア、イタリア、オランダ、ベルギーなど56人が参加。そして、2012年3月からイタリアのボローニャを皮切りに世界各地で巡回展が始まった。
展覧会が進むうちに、荒井良二やドイツのミヒャエル・ゾーヴァといった世界の第一線で活躍する作家たちも加わっていき、今回日本での展覧会には、世界7ヶ国110人の作品が展示されることになったのだ。
巡回後、売り上げは全て被災地の活動に寄付されるそうだが、チャリティが展示目的ではなく、同じ時代に生きる者としての、作家たちの迷いつつも真剣なメッセージそのものを感じてほしいのだとか。これほど大勢の作家による多様な表現作品を観ることの貴重さと同時に、被災地である日本に住む我々自身が、今なお続いている震災について考える時間になるだろう。
『手から手へ』
安曇野展:安曇野ちひろ美術館(3月1日~5月7日)
東京展:ちひろ美術館・東京(5月22日~8月4日)
島根展:平田本陣記念館(8月24日~10月6日)
京都展:京都国際マンガミュージアム(2014年3月1日~5月11日)
※他も巡回予定
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